気温が下がる秋・冬は、高速で走行するロードバイク等スポーツ自転車にとってつらい季節です。登り(ヒルクライム)では汗をかき、下り(ダウンヒル)では体温が急激に奪われます。寒い時期にライディングを楽しむ為には、適切な防寒装備が必要になります。
秋の着こなし 温度調整と使い勝手の良さ
秋の気候の特徴は、何といっても気温変化の激しさです。強い日差しと冷たい空気が入り混じるような変化の激しい気候や、台風や低気圧による天気の崩れなど、サイクリングに最適なウェア選びが難しい季節と言えます。そんな気温差の激しい季節でも快適にサイクリングを楽しむために、ウェアの選び方や重ね着のヒントをご紹介します。
半袖ジャージを使いまわすShort Sleeve Jersey
夏用ジャージの長袖バージョンのような薄手の長袖ウェアもありますが、半袖ジャージの下に長袖インナーを重ねて着る方法があります。この方法だと、長袖ジャージを新たに購入する必要がなく、半袖ジャージを使いまわすことができます。長袖インナーは冬にも使うことができます。
寒暖差に対応するCorresponds to temperature difference
秋は日中と朝晩との温度差が激しいです。「朝肌寒いため着こんでいったら、日中汗だくになる」秋のロード乗りあるあるです。半袖ジャージを基本にして、寒暖差にレッグカバー、アームカバー、レインウェアの着脱で対応しましょう。朝晩はレッグカバーやアームカバー、レインウェアを身に着け、暖かくなってきたら外してポケットに収納。アームカバーやレッグカバー、レインウェアは小さくなるのでとりあえず持って走りに行く方が安心です。
ウィンドブレーカーでもOKですが、意外に多い秋の雨に対応できるようにレインウェアの方がおすすめです。冬に近づいてきたら、アームウォーマー、レッグウォーマーがおすすめです。
冬の着こなし 防寒の考え方
1. 吸汗速乾 2. 重ね着 3. 末端を温める 4. 防風 一般に「防寒」というと、ダウンジャケットのような分厚い服を上から羽織ることと考えている方が多いですが、ハードな運動である自転車走行の場合は、登りでは体温が上がり、大量に発汗するので、薄着にならざるを得ません。 |
しかし、下りでは風により、手足の末端や腹部が急激に冷えるので、ブレーキ操作が出来なくなったり、体調を崩すことを防ぐ為、しっかり保温する必要があります。そこで、自転車では「重ね着」と「末端の保護」「防風」「吸汗速乾」で防寒を行います。
保温する最も確実な方法は、暖かい空気の層を作ることです。複数枚重ね着すると、それぞれ密閉された空気の層が出来るので優秀な保温能力を発揮します。また、体の中心部は寒さに耐えることが出来ますが、手やつま先のような末端部はすぐにかじかんでしまうので、末端部はしっかり保温すると快適です。
もっとも走りだした直後や休憩中、下りでは体が暖まっていないため、寒さを感じてしまいます。このような場合はウインドブレーカーや保温性に優れたウェア、場合によってはアウトドア用の軽量なダウンジャケットなどを上から羽織って対処するのが一般的です。
機能性に優れた冬用ウェアWinter wear with excellent functionality
冬はライダーにとって非常に厳しく、体にとっても負担が大きいため、自転車専用の冬用ウェアは非常に考え抜かれ機能性に優れたウェアになっています。
グローブは裾は伸縮性に優れ、丈も長くなっており、手首の部分まで覆われます。これはウェアと重ねることができるように丈が長くなっています。手首が露出することがないようにデザインされています。伸縮性の素材なのでウェアとグローブの隙間を完全に埋めることができ、隙間風の侵入を防ぎます。
自転車は走っていると、汗が出るほど体が温まることがあります。特にヒルクライムは汗だくになります。そのため冬用ジャージには表の風を受ける面は防風素材、裏側はメッシュ素材になって通気性に優れています。
また各所にジッパーで開閉できるベンチレーションが設けられており、温度調整がこまめにできるようになっています。
吸汗速乾アンダーウェアSweat fast dry underwear
汗を素早く発散させ、蒸れて体温が低下するのを防ぐ為に、自転車用のアンダーシャツを着ることをお勧めします。一般の綿製シャツでは汗を吸うばかりで、逆に体温を下げてしまいます。
最近は汗に反応して発熱する素材を使ったアンダーシャツも市販されています。厳冬期にお勧めです。また、すでに春・夏用アンダーウェアをお持ちの場合は、それを流用することも可能です。 |
重ね着Layering
スポーツや自転車に限らず、防寒はたくさん着込めばいいというものでもありません。大切なのは空気の層を作ることです。空気の層は外の冷気を防ぎ、さらに体温をその中に閉じ込める、つまり保温材の働きをしてくれます。ダウンジャケットが温かいのと同じ理屈です。重ね方としては、次のようになります。
1. 吸汗速乾に優れたインナー
2. 保温性に優れた冬用インナー
3. 冬用ジャージ
4. アウター(ウィンドブレーカーまたはレインウェア)
これらを組み合わせることで、様々な気温に対応することが出来ます。
ジャージ
基本となるジャージです。吸湿速乾性のある少し厚手の素材で作られています。寒さに応じて複数枚持っておくことをお勧めします。前ジッパーである程度の体温調整が出来ます。 |
ウィンドブレーカー
ウインドブレーカーは、主に下りでの防風、防寒に用います。ジャージのポケットに入るほど小さく折りたためる超軽量モデルもお勧めです。 |
レインウェア
また、天候の変化が予想されるロングライドでは、多少かさばりますがレインウェアをウインドブレーカーのように使った方が、より安全で快適です。Gore-Tex(R)のような防水透湿素材を使っていれば、蒸れにくく快適です。 |
冬用タイツ
防寒を考えた厚手のロングタイツです。あまり気温が低くないときは通常のタイツにレッグウォーマーで対処できます。 |
末端の保護Terminal protection
手足の先など、末端は毛細血管が集まっており、この部分が冷えると末端で冷やされ冷たくなった血液が全身をめぐり、体が全体的に冷えてしまいます。
ネックウォーマー
冷えやすい首元を包みます。襟元にふたをすることでジャージの保温力を生かす為にも装着をお勧めします。 |
イヤーウォーマー
冬場は痛くなりやすい耳を保護します。自転車専用品は、外部の音が聞き取りやすいよう工夫されています。フェイスマスクのように、ネックウォーマーとイヤーウォーマーが一体化したものもあります。 |
冬用シューズ・シューズカバー
ビンディングシューズは、通気性確保の為つま先がメッシュになっているため、冷気が侵入します。シューズカバーで覆うことで保温することが出来ます。寒さが厳しくない場合は、つま先だけ覆うトーウォーマーで十分快適な場合もあります。シューズを冬用にすることでも防寒性を発揮できますので、高速走行される場合は検討してみて下さい。MTBでは、登山靴(トレッキングシューズ)とフラットペダルを用いることでも対策できます。 |
冬用ソックス
靴に対策した後、少し厚めの靴下にするとさらに快適です。アウトドア向けのウールソックスはメンテナンスが楽で汗がこもりにくく、とても快適です。ただ、シューズのサイズによっては調整できず、ソックスの厚みを変えられない場合もありますので留意してください。 |
ウインターグローブ
高い保温性を持ちつつ、ブレーキ・シフトに影響しないように、各社工夫を凝らしたモデルを販売しています。専用品以外では、レバー操作が難しかったり、ハンドルをしっかり保持できなかったり、親指の付け根などの負荷がかかる部分から破れたりと、不便な点が多いので、専用品を強くお勧めします。 |
インナーグローブ
ロングフィンガーグローブにも春夏用と秋冬用がありますが、違いは、秋冬用は防風性、保温性がある、という点です。ですので、春夏用ロングフィンガーグローブで冬走行はつらいものとなってしまいます。
秋冬グローブを使っても手が冷たい!という時はインナーグローブの出番です。まずインナーグローブをはめてから秋冬グローブをつけることで、保温性がかなり高まります。 |
ウェストウォーマー
腎臓にも毛細血管が多く集まっているので、腰回りを重点的に温めることで温かい血液を全身に巡らせて体を温めることができます。 |