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パワートレーニングの用語解説とトレーニングメニュー紹介【2020/02…

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投稿者:mechanic

パワートレーニングの用語解説とトレーニングメニュー紹介【2020/02/08更新】

1987年、SRM社が特許を取得公開し自転車用パワーメーターが誕生。
1991年、 Greg Lemond がプロとして初めてトレーニングにパワーメーターを使用。

心拍計による持久系アスリートの心肺トレーニング理論が確立されたのが同じく1980年頃ですから、自転車競技におけるパワートレーニングの歴史は意外と長いです。


当時の日本では知る人ぞ知るといった扱いでしたが、パイオニア社がペダリングモニター付のパワーメーターを発売した2013年頃から一躍注目され始めたものだと記憶しています。

今や心拍トレーニングに変わって主流となったパワートレーニング。
今回は簡単な用語の解説と、代表的なトレーニングメニューを紹介していきます。

そもそもパワーとは

パワーとは、一言でいえば自転車を進ませるために人間が出している力のことです。

自転車を進ませるために人間が出している力=ペダルを漕ぐ力=ペダルから伝わりホイールを回転させる力

当たり前ですがホイールが一回転するごとに自転車はそのホイールの円周分だけ進みます。

空気抵抗や路面抵抗、駆動抵抗などが同じ条件の場合、乗り手が出せるパワーが大きければ大きいほどホイールの回転数は増え、自転車は早く進みます。

自転車にとってのエンジンである乗り手が発揮できる【進ませる力】=パワーそのものを計測し、今までよりも100kmを楽に走ったり、レースで今までよりも速く走ったりなど、目標に合わせたシチュエーションの中でより大きなパワーを発揮できるように効率的なメニューを行うことができるのがパワートレーニングです。

ペダル→クランク→チェーン→スプロケット→ホイールタイヤへとパワーが伝わり自転車は進む

パワートレーニングのメリット

まず挙げられるのが、日々のトレーニングを効率化できる点。
普通ならば「疲れた~」「いい練習だった」など、感覚で終わっていた練習を、自分の体へどの程度のダメージが入っているか、練習量をスコアとして表示してくれます。

6時間のサイクリングでのパワーデータとスコア(TSS)。後述。



体調や疲労の蓄積に関係なく、出力している時間とパワーによってスコアは計算されます。
例えば二日間連続で同じ練習量をこなさなくてはならない場合など
スコアを確認すれば一日目の疲労が蓄積した二日目にも体感の疲労度に左右されず、同じ練習量をこなすことが可能になります。




毎日のスコアを計測し続けると 「積み上げたトレーニング量と蓄積した疲労」といった体の状態をデータ化として読み解くことができるようになります。

このデータを基に、将来を見据えた(例えば三か月後のレースにフィジカルのピークを合わせた)トレーニングが可能となり、分析を行うことでより効率的なトレーニングが実践できます。

TSBシミュレーターによりピーキングが可能になる。
練習を積んでいくと▲の数値が大きくなっていくのがわかる。これが蓄積した疲労の数値です。



また、自分が決められた時間ごとに持続できる平均パワー(1分、10分、20分、1時間、5時間、、、)を把握することにより、レースではもちろん、ロングライドやサイクリングでのペーシングにも活用することができます。

パワーメーターは競技者への恩恵が大きいものではありますが、使い方をしっかり把握していればどんなサイクリストにも有用なツールになります。

心拍トレーニング

冒頭に「今や心拍トレーニングに変わって主流となったパワートレーニング」
と記しましたが、少し補足です。
現在は2つのトレーニングを併用することが多いです。



運動時には体が必要とする酸素が増加し、それを供給する血液を全身の組織に送るために、呼吸は激しくなり、心拍数は増加します。
つまり、心拍の値を図ることで体への運動負荷を知ることができます。

これを利用し、心拍域を段階分けしたものを目安に体への負荷を調整しながら行うのが心拍トレーニングです。

心拍ゾーンの例


心拍数は体調や天候に影響を受けやすいなどデメリットもありますが、パワーメーターと併用することで自分のコンディションがわかります。
パワーに対する心拍数が以前よりも低ければそのパワーを出すのが難しくなくなったということ、つまりレベルアップしているということです。

逆にパワーに対して心拍数が高い場合は、疲労が残っていたり、体調が悪かったり練習不足などが考えられます。

用語解説

FTP

: Functional Threshold Power(機能的体力閾値)
1時間維持できる最大平均出力。いわば1時間TTの平均ワット数です。
選手ごとの脚質にもよりますが、サイクリストの戦闘力など言われたりもする重要な数字です。
パワートレーニングでは全てにおいてこの数値を基に出力管理をすることになります。
代表的な算出方法は予備運動後の20分全力走テストx0.95の値。

FTPの計測は精神的にも肉体的にも過酷なテストになるため、 一時間全力を出しながら走り切るのは難しいと言われています。

PWR

:パワーウェイトレシオ、体重1㎏あたり何ワット出せるかの数値
FTPを体重で割った数値をw/kgで表す。~倍とも言う。

当然軽いものを動かすよりも重いものを動かす方が力が必要ですが、これは自転車に乗っている人間にも同じことが言えます。
特に重力の影響を受けるヒルクライムでは重要な指標になってきます。

例えば
体重70kgの人のFTPが300w
体重50kgの人のFTPが250w
だとします。数値が高い前者の方が優れているように見えます。

しかし、FTPを体重で割ると
70kgの人のPWRは4.28w/kg
50kgの人のPWRは5.0w/kg

となり、数値の高さが逆転します。

なお、300w60kgと250w50kg等、同じPWRだった場合
平坦や下りなどでは、速度が高くなると駆動抵抗や空気抵抗が大きく増加する為、FTPの絶対値が高い方が有利(速い)とされる。
FTPの絶対値を向上させるか、体重を減らすことでパワーウェイトレシオは向上します。

だいたいPWR 4~4.5w/kgで脱ビギナー、4.5~5w/kgで実業団レベルでしょうか。ツールドフランスで優勝争いをする選手は6.5w/kgにもなるそうです。

NP

:Normalized Power(標準化出力)。
一定のペースで走る(例av.150w)のと、インターバルのように激しく出力を上下させながら走る(10秒間1000w越えのスプリントを含んだav.150w)のでは、同じ平均出力(150w)でも本来体に与えている負担は異なる。
NPはインターバルやスプリント・休憩走なども加味して、運動中一定の出力を出し続けていたと置き替えた仮想の平均ワット数。
たんなる平均ワット数とは違い「体がこれだけ出した」と感じる本来の平均パワーを表すことが可能。

TSS

:トレーニングストレススコア。
NPをもとに算出される、パワートレーニングによる身体的ダメージの数値。100が基準となり、1時間本気で(FTPで)運動した時の強度が調度「TSS 100」となる。
個人差はあるものの、150以下=翌日には疲労回復、150~300=2日後には回復、300~2日後も疲労が残る。 とされている。

CTL・ATL・TSB

:日々のTSSの蓄積により算出可能。
こちらのシミュレーターで、日々のTSS(精度重要)を入力すると現在の体力・ダメージ・調子の推移がチェック可能。
但し、休養や体調・睡眠時間等を加味すると数値だけに固執するとオーバートレーニングに陥りやすくなる。

CTL0から1日平均100TSSを獲得していき、CTL100まで上げようと思うと約3~4カ月ほどかかる。
しかし、3カ月通して毎日100TSSを獲得しようと思うと、FTPの変化がTSSに影響を与えるので、トレーニング強度はFTPの向上に比例して上がっていくので、精神的にも不可能。
このため、オフシーズン(12月~3月)のトレーニング方法・トレーニング計画が重要になる。
このシミュレーターで目標とするレース日まで仮想トレーニング値を入力することで、現在どのようなトレーニング強度(日々のTSS値)で練習を行うべきか、ある程度目標値の設定が可能。

CTL

「長期間(42日間程度)にわたって積み重ねてきた練習効果」を数値化したもの。
~TSSと表記するが、実際の日々のTSSの数値とは異なる。
選手としての目標値は100TSS。但し、1週間で3~5TSS上昇が無難で4週間連続で1週間あたり7TSS以上の上昇はオーバートレーニング。

ATL

「直近(7日程度)の練習の影響」を数値化したもの。同じく~TSSと表記。
ATLを積み上げることでCTLが向上していくが、ATLを急激に上げ過ぎるとオーバー・トレーニングに陥るリスクがある。特にATLが1週間で70TSS以上も上昇した場合は、注意が必要。
またATLがCTLをかなり長期間上回る状態が続いている場合も、オーバー・トレーニングに陥っている可能性が高いと思われる。

TSB

:「調子や好調( form)」を数値化したもの。TSBが-20未満の場合は、トレーニングのパフォーマンス低下につながる。
レース当日に+5前後といった小さな正の値の時に、よいパフォーマンスが発揮できることが多い。

トレーニング例

SST

スイートスポットの略。

Power based training Levels 自分のFTPを入力するとパワー毎の領域を自動で計算してくれる。

図の3~4の間の領域。FTPの向上に効率のいいメニューです。
FTPの91%±3%のパワーで20分走×3本が基本。
精神的に苦しい場合は一回の時間を減らして本数を増やすなど調整してもいいかもしれません。

実際行ってみるときつ過ぎはしませんが、決して楽ではないトレーニングです。
ベースづくりに最適です。

あまり練習時間が確保できない時でも準備運動とダウンを含め、20min×3を行えば90min程度でTSSを100程稼げます。

クリスクロス

SST走2分→120%30秒を1セットとし、20分(8セット)
コーナーからの立ち上がりや短い丘を越える際などの繰り返しの短いインターバルに対応する能力を鍛えます。

マイクロバースト

30秒150%→30秒50%を1セットとし、10分(10セット)
クリスクロスと似たインターバル系のメニューです。
休む時間が短いので非常に苦しいですが、実践的です。

トレーニング用機材

クランク一体型パワーメーター

SHIMANO FC‐R9100p

クランク計測のパワーメーターは踏んだ力(トルク)によるクランクの変形と回転を計測しパワーとして表示しています。
SHIMANO ROTOR SRAMなどのパーツメーカーをはじめ、STAGES、4iiiiなど既製品にセンサーを取り付けるタイプのものなどもあります。

ホイール一体型パワーメーター

72326797

POWER TAPが出している、ホイールのハブでパワーを計測します。

ペダル式パワーメーター

Vector2_3LED

GARMIN(ガーミン) VECTOR2Jのようにペダルにかかる力でパワーを計測します。着脱が容易で、ほとんど全てのクランクに取り付けすることができます。

パワーメーター内臓ローラー台

ローラー台にパワーメーターが内蔵しているものもあります。

ELITE(エリート) DIRETO2(ディレート2)

wahoo KICKR SMART 

サイクルコンピューター

計測した数値を表示するには、パワーメーター対応のサイクルコンピューターが必須になります。

bryton(ブライトン) AERO 60T (エアロ60T)

GARMIN Edge 530

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mechanic

投稿者情報:mechanic

京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。

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