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シマノ 新型油圧ディスクブレーキ(M985・M785・M666)の特徴
シマノが2011年、MTB向けに発表した油圧ディスクブレーキ群は、「熱」に着目することでとても高性能な製品になりました。また、ワンウェイブリーディングやハンドルに干渉しにくいマスターシリンダーなど、メンテナンスを容易にする工夫も盛り込まれています。今回は、旧モデルからのアップグレードを考えられている方向けに、これら新型油圧ディスクブレーキ(M985・M785・M666)の特徴・取扱い方を解説します。
目次
シマノ 新型油圧ディスクブレーキ(M985・M785・M666)の特徴
http://cycle.shimano.co.jp/publish/content/global_cycle/ja/jp/index/ice-tech-report.html
http://bike.shimano.com.sg/publish/content/global_cycle/en/sg/index/news_and_info/news/new_shimano_xtr_.htmlより
キャリパー・ローター側
- ICEテクノロジー:ローターを三層構造(ステンレス・アルミニウム・ステンレス)にすることで、軽量化と高い放熱性(表面温度が従来品比約-100℃)を両立[XTR,XT]
- トレイルモデルではフィン付きパッドを採用することで表面温度を更に-50℃に低減[XTR trail,XT,SLX]
- 断熱性に優れたセラミックピストンを採用することで、キャリパーの温度上昇を抑える
- ワンウェイブリーディング対応
レバー側
- マスターシリンダーを斜めにすることで、ハンドルへの干渉を低減
- ワンウェイブリーディング対応
- サーボウェーブにより、コントロール性と制動力を両立
- 高剛性ホースへの変更
互換性
今回のモデルチェンジにより、過去製品との互換性が失われています。レバー・キャリパー・ホースは同世代のものをお使い下さい。またパッドも規格が変更されていますのでご注意下さい。
ローターは、以下のようになっています。
Ice-Tech(三層ローター) | メタルパッド対応 | レジンパッド対応 | |
---|---|---|---|
XTR(SM-RT98) | ○ | 対応 | 対応 |
XT(SM-RT81) | ○ | 対応 | 対応 |
SLX(SM-RT67) | × | 対応 | 対応 |
それ以下 | × | 非対応 | 対応 |
ブリーディング
これらの機種はワンウェイブリーディングに対応しているため、専用の漏斗(SM-DISC)およびシリンジが必要となります。お客様がブリーディングされる場合はこれらの工具も必要となりますので、購入店にご相談下さい。シリンジにつきましては工具店などで入手可能な50ml程度のもので代用可能ですが、耐油性やレバーセット・オイルセットに付属のブリーディング用ホースとの相性もありますのでご注意下さい。
- M985・M988
http://cycle.shimano.co.jp/media/techdocs/content/cycle/SI/XTR/SI_0113A/SI-0113A-001-00-Jpn_v1_m56577569830710608.pdf - M785・M666
http://cycle.shimano.co.jp/media/techdocs/content/cycle/SI/Deore-XT/SI_0116A/SI-0116A-001-00-Jpn_v1_m56577569830746865.pdf
パッドの交換
ホイールを装着したままパッド交換が可能ですが、磨り減ったパッドを新品に交換する場合はピストン位置のリセットが必要ですので、ホイールを外して作業することをお勧めします。
なお、フィン付きパッド及び付属のスプリングには左右の区別があります。区別のある部品にはR・Lの刻印がありますので、組み付け前にご確認下さい。
ピストン位置のリセット
セラミックピストンは大変欠けやすいので、ドライバーなどでこじることは絶対にしないで下さい。幅広の板、可能であればプラスチック製タイヤレバーで慎重に押し戻して下さい。
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投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
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