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マウンテンバイク・クロスバイクのVブレーキ調整[2016/05/07更…

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投稿者:mechanic

マウンテンバイク・クロスバイクのVブレーキ調整[2016/05/07更新]

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Vブレーキ

Vブレーキは、二本のレバーで構成された非常にシンプルなブレーキです。別名をリニアプルカンチブレーキといい、あまり似ていませんがカンチブレーキの発展形です(その名残でVブレーキの取り付け台座はカンチブレーキと共通です)。強力なブレーキ力と軽量シンプルな構造が特徴で、軽量マウンテンバイクやクロスバイクに多く採用されています。また、最近ではエアロロードに最適化された特殊形状のリニアプルカンチブレーキも開発され、再び注目を浴びつつあります。

Vブレーキは強力なブレーキ力を持つ代わりに、リムとシューの間隔がかなり狭くなっています。そのためセッティングによってはリムとシューが擦れているように見える場合があります。また調整箇所が多めで、状態によってはワイヤーの張り具合や軸受けの潤滑具合でもセッティングが変わる繊細さがあります。

全体構造

Vブレーキは、大まかに「ブレーキ本体」「ブレーキシュー」「ブレーキワイヤー」で構成され、ブレーキ本体には「ワイヤー固定金具」「スプリングテンション調整ネジ」「軸受け」がついています。

Vブレーキ本体

Vブレーキ本体詳細

エアロタイプのリニアプルカンチブレーキ

調整の流れ

ブレーキシューを交換したり、自転車をメンテナンスする際には、ブレーキの調整が必要です。Vブレーキの調整は以下の手順で行うとスムースに進みます。

  1. ブレーキシューを正しい位置に調整します => ブレーキシュー調整
  2. ワイヤーの引き代を適切に調整します => ブレーキレバーの遊び調整
  3. ブレーキ本体のスプリングテンション調整ネジを操作し、左右が均等に動くよう調整します => 片効き調整
  4. 1に戻り、セッティングをさらに詰めます。左右均等、ブレーキシュー位置が正しくなれば完了です。

ブレーキシュー調整

ブレーキシューが正しい位置にないと、十分な制動力が得られなかったり、ブレーキでタイヤを傷める危険性があります。

正しい位置
ブレーキシューの正しい位置

ブレーキシューの正しい位置

ブレーキシューがリムのブレーキあたり面(リムが平面になるよう加工されている部分)からはみ出さず、かつ平行になっていれば大丈夫です。
調整
固定ボルトを緩める

固定ボルトを緩める

レバーを握るか、手で押さえて締める

レバーを握るか、手で押さえて締める

ブレーキシューを固定しているナットを緩め、その状態で軽くブレーキレバーを握ります。するとブレーキシューがリムに対して平行になるので、レバーを握ったままブレーキシューを正しい位置に動かします。位置が決まったらシューを手で押さえながら固定ボルトを締めます。

ブレーキレバーの遊び調整

ブレーキレバーに付いたアジャスターを動かすことで、ブレーキレバーの動く範囲を設定することができます。また、ブレーキシューが減ってもアジャスターで調整することで、シューが減っても制動することができます。

アジャスターは反時計回りにまわして緩めるとワイヤーを張る方向に動きます。ブレーキシューが減ってきたらこちらの方向に回して調整します。

逆にブレーキレバーの遊びを増やしたい場合は、時計回りに回して締めこみます。

ただし、アジャスターを反時計回りにまわしすぎると、アジャスターが外れる可能性があるので、大きく緩めるときは十分注意して下さい。

また、ブレーキシューがなくなり、シューホルダーがリムに接触すると、「メタルブレーキ」と呼ばれる状態になり、ブレーキは利かず、リムは大ダメージを負います。シューはリミットラインに達する前に交換しましょう。(リミットラインはブレーキシューの側面に刻印されています)

片効き調整

片効きとは?
左右のブレーキシューとリムとの間隔は、本来同じであるべきですが、何らかの原因により片方によってしまった状態のことを指します。この状態では、片方のブレーキシューが異常に摩耗する、ブレーキシューとリムが接触し抵抗になる、などの問題が発生します。

直し方まずはリムの振れを見ます。「振れている」とはリムがゆがんできれいな円状でなくなったことを指します。片効き調整の前にホイールを空転させてブレーキシューとリムの間隔が場所によって変化していないか確認します。これが原因で片効きしているように見える場合があります。もし振れている場合は「振れ取り」をしますが、コツがいるのでよくわからない場合はショップに調整を依頼して下さい。

また、まれにホイールが傾いて入っていることがあるので、「前後輪の脱着」を参考に入れ直してください。

片効き調整

片効き調整

振れていない場合は、左右のブレーキアームに付いているネジのうち、よりリムに近いほうの調整ネジを締めて、リムとシューの間隔が均等になるようにします。

音鳴り

ブレーキの音鳴りを小さくするには、トーインが有効です。「トーイン」とは、ブレーキシューの後ろ側を1mmほど広く開けるセッティングのことです。

しかし、ブレーキの音鳴りは、シュー、フォーク、フレームの相性によるところが大きく、組み合わせによってはどうしても取りきれない場合があります。また、最近のシマノVブレーキでトーインにすると、ブレーキタッチ、制動力に悪影響が出てきます。注意して下さい。

ブレーキシューの交換時期

ブレーキシューが減って、排水用の溝がなくなるか、リミットライン(シューに彫ってあります)に近づいてきたら、交換する必要があります。ブレーキシューには一体型とカートリッジ型があります。

左が新品のシュー・右が磨耗したシュー

左が新品のシュー・右が磨耗したシュー

シューがさほど磨耗していなくても、シューは劣化していきます。一年を目安に新品のシューに交換することで、性能を維持できます。

ブレーキシュー交換

Vブレーキのナット

Vブレーキのナット

ワッシャーの配置

ワッシャーの配置

Vブレーキのシューには、調整のため、厚みの異なる二種類の球面ナットが使われています。フレーム・リムに合わせて内側と外側のナットは入れ替えます。

一体型
ブレーキシューとシューホルダーが一体化したもので、交換は、ブレーキシュー全体を外して行います。頻繁にブレーキ交換が必要となる場合は維持費がカートリッジ型よりかかります。
カートリッジ型
高級なブレーキに採用されていることが多いブレーキシューで、シューのゴム部分のみ交換できます。シュー脱落防止用の固定ピンがついているのが特徴です。

きゅうべえ取り扱いのブレーキシュー(Vブレーキ用)

交換方法

  1. 固定ピンを引き抜く
    固定ピンを引き抜く

    固定ピンを引き抜く

    ブレーキシューの固定ピンが、進行方向と反対の位置についているので、抜きます。外しにくい場合が多いので、ホルダー自体を抜いてしまうことをお勧めします。

  2. ブレーキシューを引き抜く
    シューを外す

    シューを外す

    進行方向と逆に引っ張り、シューを引き抜きます。

  3. シューを入れる新しいブレーキシューを、外したときと同じ向きで入れます。アジャスターを最大限締めないと、レバーの間隔が狭くて取り付けられない場合があります。。また、固着を防ぐため取付時にシューの裏側(シューホルダーに接する部分)に薄くグリスを塗る方もいます。グリスを塗る場合は、絶対にリム面にグリスが付着しないように注意し、取付後にディグリーザーでブレーキとリムの接触面を脱脂して下さい。
  4. ブレーキを再調整します。このままではシューがリムに正しく接触しないので、シューを正しい位置に再調整します。

どうしてもセッティングが決まらないときは

Vブレーキのセッティングが決まらない場合、多くの場合

  • ブレーキ本体の軸受けの動きが悪い
    「左右の動きがどうやっても均等にならない」「ブレーキレバーに大きなガタが出る」場合はこれが多いです。この場合は本体交換が一番確実ですが、固定ネジ根元にある軸受けに浸透性のあるオイルを指すことでましになることがあります。ただし、雨が降るとオイルが流れ、再び動きが悪くなる恐れがありますのでお勧めはしません。
  • ブレーキシュー根元の調整ワッシャーがゆがんでいる
    「ブレーキシューの固定ネジを締めこむと、シューの位置が勝手に動く」という場合にはこれが原因の場合が多いです。根元のワッシャーそれぞれに薄くグリスを塗り、以前と違う位置で触れ合うように適当に回転させると改善する場合があります。
  • ブレーキワイヤーがさびている
    ワイヤー式ブレーキに共通しますが、「ブレーキレバーを引くのが重い」「戻りが悪い」場合はこれの可能性が高いです。この場合はブレーキワイヤーにオイルやグリスを差す、ひどい場合は交換するのが一番の対処です。

を確認すると改善します。

また、ハンドル周りを触った後でひどい片効きになってしまった場合は、ブレーキアウターが硬くて短すぎ、ブレーキ本体が無理やり片方に寄せられてしまっている場合もあります。

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mechanic

投稿者情報:mechanic

京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。

質問・コメント一覧

  • 2012/07/16 - 藤田 輝義

    QBEI様

    前略、

    お忙しいところ誠にすいませんが教えて下さい。

    私の場合はリア側なんですがブレーキをかけるとワイヤーが戻らない状態です。以前からそういう状態なので時間をみてはワイヤー全体に油を挿してますが一向に直りません。対策法がありましたら教えて頂きませんか?是非、宜しくお願い致します。

                                                              草々

    藤田 輝義  

  • 2012/07/16 - mechanic

    藤田 輝義 様。

    スタッフ森田です。
    「ブレーキをかけるとワイヤーが戻らない」というのにはいろんな原因が考えられます。

    ①インナーやアウターのワイヤーの錆があまりにひどい場合は、注油しても直らずに、ワイヤー交換が必要な場合があります。

    ②インナーあるいはアウターワイヤーのどこかが極端に折れ曲がっていますと、そこに大きな抵抗が生じ、イナーワイヤーの戻りが悪くなります。
    この場合もワイヤー交換をお勧めいたします。

    ③ブレーキシューの全体でなく、下側をのこして上半分が極端に摩耗している場合は、
    ブレーキをかけてシューがリムに接触した際に、摩耗し残った下半分がリムの下にもぐりこんでひっかかったままになり、
    シューが戻らないというケースがあります。
    この場合はブレーキシューを交換します。

    ④Vブレーキやカンチレバーブレーキの場合ですと、ブレーキをかけたあとの解除バネの力が弱いと戻りません。
    左右のブレーキアーチの根元側面に小さなネジ(+ あるいは六角の2mm、3mmのネジ)を左右締めてやって調節します。

    ⑤Vブレーキやカンチレバーブレーキの場合、ブレーキアーチをフレーム台座にとめている部分の接合が、本来は固着でなくてよく動く状態でなければならないのに、
    はめあわせが固く、ブレーキアーチの動きに抵抗を生じているケースもあります。
    この場合はいったんフレーム台座からブレーキアーチを外し、台座の外周にグリスを塗って再組み付けします。
    これで直らないケースで、台座のネジ穴の縁が変形している場合は、そこがブレーキアーチとこすれて抵抗になっているので、そこをヤスリなどで削ったりしますが、
    削りすぎたり、削る場所を間違えると、二度とブレーキアーチが使えなくなりますので、自信がない場合は手を出さないで自転車店にみてもらってください。

    ⑥キャリパーブレーキの場合、キャリパーを正面から見て、両足の中心に占め合わせネジが一箇所だけあるシングルピボットタイプですと、
    そのネジが二個のナットで締めあわせてあれば、そこの締めが固すぎるとアーチの戻りが悪いですから、少々締め合わせをゆるめてやります。

    ⑥キャリパーブレーキで、キャリパーを正面から見て、両足の中心よりずっと横の方に占め合わせネジがあるデュアルピボットタイプですと、
    上方向から見て肩部分にセンターリング調整ネジ(+ あるいは六角の2mm、3mmのネジ)があり、
    それがゆるめすぎ状態ですと、アーチの動きが悪くなるケースがあります。
    この場合はまずセンターリング調整ネジを締めておき、キャリパー後ろの固定ネジをゆるめてキャリパーの位置をタイヤに対しほぼ中央位置にし、
    キャリパーを固定してやります。
    そのあとの微妙なセンター位置調整は、さきほどのセンターリング調整ネジで行います。
    (おすすめはしませんが、キャリパー固定後、手でずらしてセンター位置にもっていくこともできます)
    このあとブレーキレバーを操作してみると、さきほどよりはタッチがシャキシャキしているのがわかるはずです。

    主だった原因について述べてみましたが、どれに該当するかは、やはり見てみないとわかりません。
    わからない場合は自転車店に持ち込んで見てもらって下さい。

  • 2012/07/16 - 藤田 輝義

    森田様
    早速のご回答、誠にありがとうございます。
    色々詳しく教えて頂いて心から感謝申し上げます。流石、プロの説明は一味違いますねぇ~。とても勉強になりました。これに懲りず、また何かありましたら宜しくお願い致します。

    暑いので熱中症に気を付けて下さいませ。では、失礼致します。

    藤田 輝義

  • 2012/07/19 - mechanic

    藤田 輝義 様。

    スタッフ森田です。
    ご連絡ありがとうございました。また何かございましたらお気軽にお問い合せ下さいませ。
    こちら京都も、梅雨が開けたと思ったら、目も開けられないほど眩しくて暑い日が続きます。
    藤田様もおからだにはお気をつけくださいませ。

    失礼いたします。

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