公開日 :
更新日 :
アヘッドステムの取り扱い
アヘッドタイプのヘッドは、軽量で高剛性なのが売りですが、比較的ガタ(緩みによる異常振動)が生じやすいのが難点です。調整は簡単なので、定期的に点検してください。
アヘッドステムの形状
- フォークコラム
前輪を支えるフォークから伸びるパイプです。鉄・アルミコラムの場合はスターファングルナットというパーツが圧入されていますが、カーボンコラムの場合は、プレッシャープラグというパーツが埋め込まれています。 - アヘッドステム
フォークコラムとハンドルをつなげます。 - ヘッドパーツ
内部に仕込まれたベアリングの働きで、ハンドルがスムースに回転します。適切に動作するには、上から軽い圧力がかかっていなければなりません。「インテグラルヘッド」タイプでは、「ヘッドパーツ」という単体パーツは存在せず、フレームに内蔵されています。 - コラムスペーサー
ステム(≒ハンドルの高さ)を調整し、ヘッドパーツに十分な圧力を掛ける、リング状のパーツです。フォークコラムの太さによって適合するコラムスペーサーが変わります。 - トップキャップ
ヘッドパーツに与圧をかけるパーツです。締めた状態で、コラムスペーサー+ステムの高さ>フォークコラム突き出し部の長さとなっていなければなりません。
ベアリング調整(ガタ取り)
ネジの締め方、トルクについては工具の使い方(ネジ編)を参考にしてください。
- ステムの固定を緩めるステム両側のフォークコラム固定ボルトを緩めて、ハンドルが自由に動くようにします。
- トップキャップを調整するトップキャップを5mmアーレンキーで軽く締めます。締め方の基準としては、「長さ10cmのアーレンキーの先端を、指先で少し強く引いて締める」と例えるのが適当でしょう。規定トルクが記載されている場合はそれに従ってください。適切に締まると、「ハンドルはスムースに回転し、前輪ブレーキを掛けて前輪を前後に揺すってもがたつく感じがしない」状態になります。
- ステムを固定するステム両側のフォークコラム固定ボルトを締め、ハンドルが動かないように固定したら完成です。カーボンコラムの場合は締め付けすぎに十分注意してください。
どうしてもガタが取れない場合
トップキャップを強く締めてもガタが取れない場合は、そのまま締め込むのではなく、次の点をチェックしてください。
- ステムのフォークコラム固定ボルトはしっかり緩めたか緩めたつもりが、まだボルトが締まっている、ということがあります。ハンドルの固定が解かれているか確認してください。
- コラムスペーサーは正しく入っているか
コラムスペーサーを紛失した、組み立て時に十分な数を取り付けていなかった、等の場合、いくら締めてもヘッドパーツに力がかからず、調整できない場合があります。この場合は適合するコラムスペーサーを入手し、取り付けてください。
- ヘッドパーツは正しく圧入されているかまれにヘッドパーツやヘッド部の精度が不十分で、適切に調整できない場合があります。特殊な工具と経験が必要なので、専門店に修理を依頼してください。
- (カーボンコラムの場合)プレッシャープラグは正しく固定されているかカーボンコラムの場合、プレッシャープラグというパーツでヘッドに圧力をかけていますが、このパーツがゆるむといつまでもガタが取れなくなります。
ハンドルを正しい向きに向ける
自転車を倒すなどして、ハンドルの位置が曲がってしまった場合は、ステムのフォークコラム固定ボルトを一旦緩め、ステムが前輪と同じ向きになるよう調整し、再び固定ボルトを締めて固定してください。曲げる過程でトップキャップが動き、ガタが出る場合がありますので、その場合は再調整してください。
シェアをお願いします!
投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
-
-
- 2012/09/08 - mechanic
-
スタッフ森田です。
お答えが遅くなりまして申し訳ございません。上の写真にあるようなインテグラル系のヘッドの場合、パーツのはまっている順番ですが、
上からまずトップキャップ、ステム、コラムスペーサー(ステムとコラムスペーサーは、希望の高さにするために、上下を入れ替えることもよくあります)、
それから台形のパーツ(トップカバー)という順番になっています。
そのさらに下に隙間があるということでしょうか。
としますと、「台形のパーツとフロントフォーク頂上の間」ではなく、「台形のパーツとヘッドチューブ頂上の間」ということになるのかなとも思うのですが。
もしそうであって、その隙間が1mm前後くらいでしたら、それは問題ないかもしれません。
台形のパーツ(トップカバー)の下にはスペーサーとベアリングがあって、
台形のパーツ(トップカバー)が、ベアリングのはまっているフレームのヘッドチューブ頂上と隙間なくあわさっていたら、お互いにこすれてハンドリング時の抵抗を生むので、
お互いにこすれないようにスペーサーを足して、台形のパーツ(トップカバー)をヘッドチューブより浮かせるようにしています。もしそうではなくて、トップキャップを締めてもガタが取れない場合は、ステムやコラムスペーサーの全高がフォークコラム頂上よりも低く、
トップキャップを締めてもトップキャップはフォークコラムを押すだけで、ステムやコラムスペーサーを押せていないというケース。
この場合はステムやコラムスペーサーの全高をフォークコラム頂上よりも高くしてやればいいわけで(2、3mm程度)、
つまりコラムスペーサーを足してやれば解決します。ただ、今まではガタがなくて、ステムを違うものに交換でなく同じステムを使って、コラムスペーサーとの上下の順番を入れ替えただけでしたら、
ステムやコラムスペーサーの全高に変化はないわけですので、上には該当しません。
もしそういうことですと、実際に見てみないとわかりかねるところもございます。
その場合はお近くのスポーツ自転車に見せて相談されるとよいかと思います。よろしくお願いいたします。
質問・コメントは下記フォームよりお送り頂けます。
- カテゴリ/タグ:Handle(ハンドル周り), メンテナンス, 基礎知識
- トラックバックURL:https://www.qbei.jp/info/bicycle-maintenance/1585/trackback
はじめまして。
ステムの高さを調整した後にガタつきがあり、参考サイトを探していたところ
こちらを見つけ参考にさせてもらっています。
コラムスペーサーの下の台形のパーツとフロントフォーク頂上の間に隙間ができてしまい
しっかり押し込んでもうまくはまりません。
中のベアリングが微妙に飛び出ているようにも思います。
コラムスペーサーをしっかりはめ込み、トップキャップをきっちり締めても
やはり台形の部分の隙間のせいなのか、ブレーキをかけてステムを前後に動かすとガタガタしてしまいます。
ステムの高さは今まで何度か変更しましたが、その下の台形のパーツは全く気にしていませんでした。
今までガタつきが起こったことはなくどう対処したらいいかわかりません。