十分に終わりのことを考えよ。
まず最初に終わりを考慮せよ。

(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

***

きゅうべえオンラインショップの
メールマガジンへようこそ。
お久しぶりですね、
メルマガ担当のメルです。

今年のお盆は実家への帰省もままならず、
いつもと違った休みになってしまいましたが、
いかがお過ごしでしょうか?

そんな中で、この度はわざわざ
この「メルマガ配信所」まで
ご足労頂きありがとうございます。
さあ、どうぞお入りください。

え?「なんの話だ」って?
……やだなぁ!何を言っているんですか?
七不思議ですよ、七不思議。

『お盆なので七不思議を語る回でもしましょう』
という話をしませんでしたか?

え?そんな話はしていない?
う〜ん、おかしいな……
まあ、いいじゃないですか!

皆さん会議室でお待ちかねですよ。
さあ、入って入って。



部屋に入ると、6人の男女が
一斉にあなたの方を見た。
どれも見知らぬ顔ばかりだ。

キィー……バタン   ガチャリ
背後で鍵の閉まる音がする。

何も鍵までしめなくても。
なんて文句を言う暇もなく、
メルと名乗る人物によって
あなたは腕に、機械が取り付けられた。



LEZYNE
MICRO GPS WATCH


心拍数や消費カロリーだけでなく、
スピード、タイム、走行距離など、
サイクリングで利用されることに特化した機能が満載。

さらにはGPSナビ機能に、
ケイデンス計測機能までついています。

これ一つで何でもできる優れものです。





「これは何ですか?」
「見ての通り、心拍測定器ですよ。」
「どうしてまたこんなものを?」
「怖い話を聞いて、どれくらいビックリしたか
数値で見たいと思いませんか?」

そう言うと、メルは空いている席へと腰を下ろした。
残る席は所謂”お誕生日席”のみ
あなたは渋々空いている席へと腰かけた。


「それじゃあ、始めましょうか」

誰ともなく上がった声に、皆が頷く。
こうして、自転車乗りたちによる
奇妙な7不思議の会が始まった。

……さて、誰の話から聞こう?


***

【1話目】灼熱トレーニング

誰も話さないなら俺から行かせてもらうぜ。

俺の名前は輪太郎。
ロードバイクに乗り始めてから
10年ちょっとのサイクリストだよ。

あんたは暑い日、外に走りに行くか?
それとも、家で空調を効かせて
在宅トレーニングをするタイプか?

俺も例年なら気にせず走りに行くんだが、
今年の夏はあまりにも熱すぎる。
ついに室内トレーニングを始めたのさ。

ローラー台って知ってるだろう?
室内トレーニングやレース前のウォーミングアップで
使われている、トレーニング機器だよ。



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MINOURA
 SMART TURBO KAGURA神楽DD
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室内をクーラーでキンキンに冷やしてさ、
満を持して走り始めた訳さ。

最初は寒かったよ。
温度下げすぎたと思ったね。
でも風が吹かないから
これくらい必要だと思ったんだ。

そして、その判断は間違っていなかった。
……どんどん上昇していくんだよ、体感温度が
丁度いい温度をあっという間に越えちゃってさ。

風が無いから汗も熱気も飛ばないんだ。

……後で知ったんだけどな、
世の中には、ローラー台でのトレーニングに
最適化された扇風機というものが
存在するんだってな。




wahoo
KICKR HEADWIND
BLUETOOTHファン





アンタも、室内トレーニングをする際には
扇風機、用意した方が良いぜ。


***

【2話目】レーパンの呪い

終わり……ですかね?
それじゃあ次は僕が行きましょう。

あなたは”呪い”って信じますか?
実は僕、呪われたことがあるんです。

あれは、僕が自転車を
始めたばかりの頃のことでした。

僕にはロードバイクについて
色々と教えてくれる先輩がいました。
名前はそうですね……チャリ介さん
とでもしましょうか。

チャリ介さんは、すごく朗らかな方で、
サイクリングの必需品だったり、
ハンドサインだったり、
何も知らない僕に、快適に走るために
大切なことを色々と教えてくれました。

幸せで充実したサイクリング生活のスタートです。

しかし、そんな僕の充実した日々を
妬む霊がいたのでしょうか……
初めてのロングライドの時、
事態は一変します。

……お腹が痛い。
腹部を締め付けるような痛みが
じわじわと僕の体力を奪っていくのです。

「チャリ介さん……ちょっと待ってください」
「どないしたん?九太」

僕は先へ先へと進むチャリ介さんを
思わず引き留めました。
あ、申し遅れました、僕は九太といいます。

「あの、お腹が痛くて……」
「ちょっと見せてみ」

ぼくは素直に見てもらいました。
するとね、チャリ介さん
こんなことを言うんですよ。

「うわー!アカン!それはレーパンの呪いや!」
「レーパンの呪い……!?」
「そうや、長く走るんやったらビブにせなアカンねん」
「ビブ?」
「ビブショーツ、聞いたことないか?肩紐ついてるレーパンや」




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MINOS BIB SHORTS






「九太君ビブ持ってなかったんかいな」

そう言って、チャリ介さんは「お守りに」と
僕にビブショーツを買ってくれました。

そして、そのビブショーツを身に着けた途端、
例の締め付けられるような不快感が
パタリと止んだんです。
……以来、その腹痛は起こっていません。

あなたも走行中お腹の辺りがしんどくなる……
そんなことはありませんか?
もしかしたら、それ……呪いかもしれませんよ。

僕の話は以上です。
次の方どうぞ。


***

【3話目】自転車のミステリー

次は私ね。
私の名前は久子。

あなた
どうして自転車が倒れずに走れるか
知っているかしら?

「ジャイロ効果」……って
一度は聞いたことあるわよね。
そう、ドローンの中に組み込まれているアレ。

自転車が転ばない理由は、
このジャイロ効果にあると
一般的に言われているわ。

……そんな能力が自転車の
どこに込められているのかですって?
それはもちろんホイールよ。



Campagnolo
BORA ULTRA50 RedFlange





小難しい説明は置いとくとして、
つまりホイールが回り続けている限り、
自転車のバランスは崩れないの。

……でもね
実はこれ、未だに科学的には
証明されていないの。

結局自転車がどうして
転ばずに走り続けられるのか、
正確な理由ってまだ分かっていないのよね。

不思議よねぇ、こんなに身近な存在なのに。

私の話はこれでおしまい。
さて、次は誰が話してくれるのかしら。


***

【4話目】恐怖のミュージックライド

YO!久しぶりだなメルマガヘッズ!

誰?って顔してんな!
俺の名前はYOSHI THE CYCLIST!
自転車とHIP HOPを愛する生粋のB-BOYだYO!

なんで俺がこんな所に居るのかって?
そいつぁ俺にも分からねぇ!

1つ分かってること、
それは、俺がこれから
怖い話をするということだけだ!
ビビって逃げ出すんじゃねぇぜ!

これは俺がグレてた頃ン話だ。

俺はその日、
ヒップホップを聞きながら走ってたンだ。




knog
PWR SOUND


ワンプッシュでスマートフォンなどと
Bluetoothでペアリングでき、
音楽が楽しめる一品。

サイクリングの楽しさを盛り上げるお弁当や
キャンプなどのお供にもピッタリ。

屋外で使用する際は、
他の人々の迷惑にならないよう
しっかりと配慮しましょう。





音楽は良いぜ!俺たちのソウルカルチャーだ!
でもYO、そう思わねぇ人も居るんだな。

……怒られちまったんだよ
「うるせぇぞ!」って
他のサイクリストの兄チャンにな!

いやぁ怖かった……でも反省したぜ。
俺は聞きながら楽しく走れても、
すれ違う人々はそうとは限らねぇ。

俺はこの出来事があって、
スッカリ心を入れ替えたって訳さ!
あの時はすっかりビビっちまったが、
今ではその兄チャンにスッゲェ感謝してンだぜ!

ん?怖くなかった?ウソだろ!
こんなに怖ェ話、後にも先にも知らねぇぜ!

俺の話はこれで終わりだ!
次の話へ進めてリーダー!

***

【5話目】金縛りサイクリング

ひえぇ〜……
ついに私の番ですか?

あ、はい、私は花輪と言います。
自転車は始めたばかりです。

あなたは「金縛り」にあったこと
ありますか?

あれは今日のように暑い夏の日の出来事でした。
その日、私は友達と3人で、
淡路島一周に挑戦していたんです。

初めはスイスイと走れていたのですが、
だんだんお腹が空いてきました。

朝いつも通り食べてきたはずなのにおかしいな、
そう思いながらも、ランチには地元で有名な
美味しいレストランを予約していたので、
空腹こそ最高のスパイスだと思って
気にもしてなかったんです。

でも、しばらくするとね……
喉が異様に乾き始めたんです。

少し多めに持ってきたドリンクも
あっと言う間になくなっちゃって、
慌てて補充のために
自動販売機の前で自転車を止めたんです。

……でもね、遅かった。
次第に体に力が入らなくなって、
気づけば私はその場に倒れて
動けなくなってしまいました。

金縛りにあってしまった私はそのまま……
……やだなぁ、そんなお化けを見るような目で
見ないでください。冗談ですよ。

ハンガーノック……って言うんですね。

きちんとご飯を食べていても、
暑い夏の日は体力の消耗が大きく、
エネルギーが枯渇してしまうことがある
ということは後で知りました。


幸いなことに、この時は
友人らと一緒に走っていたので
補給食を分けてもらって糖分をとり、
涼しい所で休んで事なきを得ました。

でも、一歩間違えると危なかったですよね。
これが1人だったらと思うとゾッとします。

以来、ステム部分にバッグをつけて、
中にお菓子や補給食を常備して
走るようにしてるんですよ。

エネルギー不足にならないように、ね。



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ステムバッグ Mサイズ





サイクリング中の金縛り
……思い出しただけでもゾッとします。
あなたも気をつけてくださいね。

***

【6話目】幽霊自転車

いよいよ6話目だね。

僕の名前は輪田
以後、お見知りおきを。

キミは幽霊の存在を信じるかい?
……信じて無さそうな顔をしているね。
でも安心してくれ、僕もそうだ。

でもね、夜の街にはたまに現れるんだ。
自転車に乗った幽霊が、ね。


これはつい先日、
夜の道を走っている時に実際に起こった出来事だ。

日中は暑いからと思って、
その日は夜遅くに走っていたんだ。
車通りのない夜道を一人でね。

もちろん自転車どころか歩いている人も居ない。
生暖かい風を感じながら、
「夜も別に涼しくないなぁ」
なんて思いながら走っていた。

明かりのほとんどない夜道というのは、
月明りで辺りの様子が薄っすらと分かるものだ。
僕はね、そのそのとき前方から
猛スピードで突っ込んで来る影を見たんだ。

驚いたよ。
死ぬかと思った。
猪だったらどうしよう、とかね。

驚いて足を止めた僕の横を掠めるようにして
影はそのまま走り去っていった。

すれ違いざまに見て、
ようやく僕はその正体に気が付いたよ。
そいつは自転車だった。

気配を消し、音もなく近寄ってきては去っていく。
無灯火だったんだよ、その自転車
まるで幽霊みたいだと思わないか?

無灯火で走る自転車の噂は聞いていたけど
まさかこんなに危険だとはね。

そして、幽霊自転車に気をとられていた僕は、
後ろから迫りくる車に気づけなかった。

……幸いにも、きちんとライトをつけていたので
車も気がついて避けようとしてくれたんだけどね。
ま、結果は見ての通りだよ。

もし可能なら、夜走るときは
反射素材のアイテムを身に着けようと思ったね。



ArroWhere
WINDPROOF VEST HIVIS


後方400mから視認できる反射ベストです。

交通量の多い道はもちろん、
交通量が少なく、自動車ドライバーが
油断しがちな暗い道でも、
しっかりと存在をアピールできます!




あんな思い、僕はもう二度としたくないね。
さあ、これで僕の話はこれで終わり。

……そうだ、知ってるかい?
7不思議って、7つとも知ってしまうと
とても不思議なことが起こるんだよ。

フフフ……何も起こらないといいね。
さあラストだよ。
次はどんな話が聞けるかな?





輪田さんの一言に、
部屋の中に重苦しい空気が充満する。

その重苦しい空気に耐えきれなくなって
思わず声を上げた。

「最後はメルさん……であってますよね?」

そう言ってあの人が座っていた席を見る。
そして、目を大きく見開いた。
……いつの間にか、その姿が無くなっていたのだ。

……妙だな。
扉が開いた気配はなかった。
鍵も掛かったままだ。

他の語り部たちも皆、
狐につままれたような顔をして
席とドアを交互に見つめている。?

冷たい汗が背筋を伝った。

「……トイレですかね、少し待ちましょうか。」

他の語り手たちは、
戸惑いながら頷いた。

………


辺りはシンと静まり返る。
沈黙に耐えかねて再び口を開いた。

「あの、今気になっている自転車とかありますか?」

皆、ぽつりぽつりと
自転車について語り始める。

2021年モデルの話に始まり、
これからの時代はグラベルが良い、
いや、やっぱりロードが一番だ
などなど、七不思議の存在も忘れて、
自転車談義は白熱していく。

そんな中で、一台の自転車に目が奪われた。




GT
2020年モデル
ZASKAR ELITE
29インチ





「あなたもマウンテンバイクが気になってるんですか?」
「YO!分かってンじゃねぇか!」

九太とYOSHIの二人は、
どうやらマウンテンバイクに興味があるようで、
今度一緒に山へ遊びに行こう
なんて約束を交わす。

……随分と仲良くなったものだ。

どうしてこんな所で七不思議を聞いていたのか。
そんな些細なことはどうでも良くなってくる。
思いのほか、充実した時間を過ごすことができた。

……メルという人は、
結局帰って来なかった。


***


【7話目】


気づけば外は真っ暗になってしまっていた。
時計を見れば、午後9時を回っている。

「戻ってきませんね、帰っちゃったんでしょうか?」

あまりに盛り上がっていたので
入りづらかったのかもしれない。
時計を見ながら皆にそう告げ、立ち上がった。
ガタン。椅子を引く音が部屋に響く。

「そろそろ帰りましょうか」

………


さっきまであれだけ盛り上がっていたというのに
返事が一向に返って来ない。
それそれどころか、雑談する声すら聞こえてこないのだ。

不審に思い、時計から目を上る。
そして驚いた。

「あれ……?みなさん?」

部屋には誰も残っていなかった。

「ド、ドッキリですよね?」

自分一人の声が小さな部屋に吸い込まれて消える。

「……はやく出てきてくださいよ」

そう叫んだその時。
コン…コン…
いきなり部屋のドアをたたく音がした。

突然の音に、緊張が走る。
(七不思議を全て知ると不思議なことが起こる)
……そんな輪田さんの声が脳裏によみがえる。

どこか逃げる場所はないか。
じりじりとあとずさり、
ドアから距離をとる。

ジャラ……
金属同士がぶつかり合うような音がした後、
ガチャ、ガチャ、ガチャン。
鍵を開ける大きな音が部屋に響いた。

隠れる場所を探す間もなくドアノブは捻られ、
そして……


「そろそろビル閉めるから出て行ってくれ」


現れたのは、ビルの警備員らしき男だった。
今にも腰を抜かしそうな姿を見て、
警備員の男は不審そうに眉を顰める。
?
「どうかしたんか?」
「あ、すみません!すぐ出ますんで!」

これ以上長居して、
自分まで神隠しにあってはたまらない。
慌てて荷物をまとめると、一目散にビルを飛び出した。

駐輪場まで走りながら思う。
果たして彼らは一体誰だったのだろうか。
お盆に見せた夢だったとでもいうのか。

「頑張れ」
途中、誰かが耳元でそう囁いた気がした。

駐車場に到着すると、
ライトの灯火を確認し、自転車に跨る。
生暖かい夜風が肌にまとわりつき、
不快感に眉を寄せた。

腕に着けたままの機械には、
普段よりも高い数値が表示されていた。

今になって弾けそうな心臓を
必死に静めながら、家に帰るべく
ペダルを漕ぎだすのだった。



+++++


【あとがき】

お盆ということで、
少し不思議な話にしてみましたが、
お楽しみ頂けましたでしょうか?

ホラー回は7月3週配信分と合わせて
この夏2回目ですが、
私もやりたかったので、
ネタかぶりを気にせずやってみました。

間もなくお盆も終了。
通常納期の商品の出荷は、
17日以降、順次再開して参ります。

現在ご注文頂いている方には
長らくお待たせして大変恐縮ですが、
お届けまでもうしばらくお待ちくださいませ。

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最後までお読みいただき、
ありがとうございました

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