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メンテナンススタンドの選び方
目次
メンテナンススタンドとは?
ロードバイクなどを洗車したり、整備したりするときに使う専用の固定台です。ワークスタンドとも呼ばれており、前輪または後輪を固定することで、自転車を壁などに立てかけた状態に比べて快適に、早く作業を行う事が出来ます。
メンテナンススタンドには、
フォークダウン式(BB,フロントフォーク固定型スタンド)
(BB部分を支えにして前輪を外したフロントフォークで固定するものです。2か所でしっかりと抑えるという事や整備時に自転車ごと回転できる事、水平を保ったまま整備できる事などから、多くのプロチームがこのタイプのものを使用しています。)
クランプ方式(トップチューブ[シートポスト]固定型スタンド)
(トップチューブまたはシートポストをクランプで挟んで固定するものです。固定箇所が1か所だけになるため固定力は前者よりも劣りますが、車輪を外す必要がないため、利便性の面ではこちらに分があります。しかしながら1本の支柱でシートポストやフレームを固定する事で整備時に自転車を回転する事が出来ない事や、クランプ1か所で固定する事による自転車への負荷を考えると、フォークダウン式と比較した時のデメリットが見えてきます。)
の2つがあります。
この他にリアのシートステーとチェーンステーをフックで吊り下げる物やホイールの固定器具を左右から抑えて固定する物、またトップチューブを下から支える物をメンテナンススタンドもありますが、ここでは割愛させて頂きます。
メンテナンススタンドを使用する利点
多くのメンテナンススタンドは立ったままでも作業が行えるよう、固定時に自転車の中心が腹から胸の辺りに来るよう設計されているので、他の固定器具を使用したり、壁などに立てかけて作業するよりも格段に早く、快適に作業を行えます。
これらは他の固定器具に比べて固定力が高いため、変速機の調整など、後輪を回して作業する必要がある時などにその効果を発揮するでしょう。
特にフォークダウン式のスタンドはフロントフォークを固定する事でハンドルも同時に固定されるため、洗車などの作業中にハンドルが傾いて作業の邪魔になるといった事もありません。
また足元が三脚やT字型の支柱で固定されているため、風やちょっとした衝撃で倒れる事が無いのもメンテナンス台の強みです。
アフターパーツとしてメンテナンス時にボルトや工具を入れるのに役立つトレイなども販売されているので、そちらを使用するとより作業時の利便性が向上します。
メンテナンススタンドの選び方
メンテナンススタンドの選び方の基準としては以下の4つが、主な基準として挙げられます。
自分の求める機能と予算を満たした、ぴったりの一台を見つけてみてください。
フォークダウン式か、クランプ方式か
クランプ方式の場合、フレームやシートポストの形状によってはクランプでは固定出来なかったり、サイズが合わないために固定しようとすると傷が入ってしまったりする物もあるので、自分の自転車のフレームやシートポストに合った物を選ぶ必要があります。
またフォークダウン式の場合、スルーアクスル方式の自転車は固定出来ないものもあるので購入の際に注意が必要です。
スタンドのサイズ
自転車を丸ごと一台載せられるスタンドは、そのままだとかなり場所も取ってしまいます。一部のスタンドは固定脚、アームを折り畳んだり収納、解体できるようになっており、また支柱も身長や使用環境に合わせて伸縮出来るように設計されているので、収納場所の大きさなどを参考にしつつ選ぶのが良いでしょう。
スタンドの機能
メンテナンススタンドは、価格やグレードが上がるにつれて、左右、上下方向への角度調整機能や水平方向への回転、もしくは水平方向を保つ機能など、使用できる機能も増えていきます。
自分が自転車の整備に求めるスタンドの動作や機能などと照らし合わせて選ぶと良いかもしれません。
価格
安いもので10,000円前後のものから、高いもので50,000円を超えるものまで、多種多様です。
スポーツ自転車が普及してきた最近では、充実した機能を持ちつつ比較的安価で手に入れられるものも多くなってきているので、15,000円から25,000円程度の予算があれば日々のメンテナンスには十分な機能を持ったものを、さらに手を伸ばせばプロチームがレース会場で使用するものとほぼ同じものを手にする事ができます。
メンテナンススタンドの使い方
メンテナンススタンドには、洗車時や整備時など使用用途に分けて複数の使い方があります。用途ごとに分けてスタンドを使用する事で、効率よく作業する事が出来ます。ここではフォークダウン型のスタンドを例に挙げて説明します。
前輪のみ取り外しての作業
フォークダウンタイプのメンテナンススタンドは多くの場合、前輪を取り外して固定するのでこの状態が基本となります。
写真のように簡単な洗車や変速機、リアブレーキの調整のほか、ヘッドパーツやチェーンの交換、その他パーツ類の付け替え作業などはこの状態で行うのが良いでしょう。
後輪のみ取り外しての作業
一部のフォークダウンタイプのスタンドはリア側でも固定できるよう、フロント用とリア用両方の固定題材が設けられています。シートチューブやシートステーのホイール側を洗浄する際やフロントホイール、ブレーキの調整、フロントフォークの交換作業はこの状態で行うのがおすすめです。
両輪を取り外しての作業
自転車のオーバーホール作業や全体的な洗車、パーツ類の取り外しなどはこの状態で行うのが良いでしょう。両輪とも取り外されているので、こういった機会にホイールやスプロケットを分解しての洗浄、また後輪のハブの分解、グリスアップなどを同時に行うのもおすすめです。
またこの状態での洗車時に、チェーンキーパー(チェーンハンガー)を後輪の固定部分に取り付けチェーンを通して使用すると後輪が無い状態でもチェーンを回す事が出来るため、チェーンの洗浄や脱脂、グリスアップや、チェーンステーの洗浄時にチェーンが邪魔にならないよう避ける事も出来るのでおすすめです。
TNI(ティーエヌアイ) チェーンハンガー チェーンキーパー
おすすめのメンテナンススタンド
ELITE(エリート) WORKSTAND RACE PRO ワークスタンド レース プロ
イタリアのサイクルパーツメーカーのELITEが販売する、三脚、フォークダウンタイプのメンテナンススタンドです。
このモデルの強みは”RACE PRO”という名前が語る通り、なんと言ってもプロチーム御用達の機材である事。
画像は数年前のものになりますが、ロードレースの最高峰のツールドフランスのレース会場においても、ここで紹介しているものと同じモデルが使用されていることが分かります。
使用できる機能も、ワンタッチの水平固定機能やアームの無段階調節機能をはじめ、高負荷作業にも対応できるBB固定機構やアームを360°回転させられる機能など、日々のメンテナンスには十分すぎるくらいの機能を持ったモデルとなっています。
また本体やブラケット部をアルミニウムやスチール製とした事で錆を防止。重量も5kgと軽量かつコンパクトに折り畳みが可能なので、週末のホビーレースなど出先でのメンテナンスや持ち運びにも大いに役立つでしょう。
より実戦的で、かつ洗車からオーバーホール時の作業まで、様々な作業状況に対応してくれるスタンドが欲しいという方におすすめです。
FEEDBACK(フィードバック) Sprint Work Stand
固定ローラーやストレージパーツなどを多く販売する大手メーカー、FEEDBACK SPORTSが販売する三脚、フォークダウンタイプのメンテナンススタンドです。
外見やプロ機材であるという点では先ほどのELITEのスタンドと似たものがありますが、こちらはバイクを固定しながら重心をスライド出来る独自の機構を持たせたことで、より様々な種類のバイクやコンディションに対応できます。また重量も5.9kgと持ち運びしやすい事や折りたたんでコンパクトに収納できる事、またELITEよりも安価で手に入れられる事など、このスタンドを選択肢に入れる要因は沢山ありそうです。
MTBやロードバイク、クロスバイクなど多くの種類のバイクを所有していて、それらを快適に、安定した環境で整備出来るスタンドが欲しいという方におすすめです。
MINOURA(ミノウラ、箕浦) 2018年モデル MINOURA × WAKO’S RS-1800 ワークスタンド
自転車トレーナーメーカーである日本の企業、ミノウラが販売する三脚、フォークダウンタイプのメンテナンススタンドです。
このメーカーは、レース会場などで洗車のデモサービスなどを行っているケミカルメーカーの和光ケミカルに自社のスタンドを提供しているのですが、ここで紹介するスタンドはこの和光ケミカルとの共同開発の結果生まれた、この上なくメンテナンスに適したスタンドとなっています。
フロントフォークを固定するクイックリリースは容易に着脱出来るよう開き幅を大きくしたワイドオープンクイックを採用。また脚部には洗車時に水が溜まらないように穴の空いた設計とした事や使用用途に合わせてフロントリア共に10段階の角度調整が可能など、ユーザーの様々な使用用途を想定した設計となっています。
加えて付属のシムスペーサーの交換次第でスルーアクスルにも対応する事や、ここで紹介した中では最安値かつ最軽量の3.9kgなど、このスタンドの長所を上げ始めると枚挙に暇がありません。
海外製のスタンドでは心配という方や便利な機能が詰まったスタンドを出来るだけ安く購入したいという方におすすめです。
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投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
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