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電動DURA-ACE(デュラエース)7970取付け方法
2010春発売の電動DURA-ACE(デュラエース)7970の取付け方法の紹介です。
BB、クランク、ブレーキの取付けなどは、変速系の組付けまでに完了しておいてください。
デュアルコントロールレバーのハンドルバーへの取付けはST-7900デュアルコントロールレバーのようなブラケット上部からではなく、従来のDURA-ACE(デュラエース)7800シリーズまでのような感じでブラケットサイド部分から六角レンチを差し込んでネジを締めるタイプです。
カーボンハンドルバーの場合はハンドルバー側の規程締め付けトルクにも注意が必要です。
ブレーキインナー装着はレバーを大きく握った状態では通しにくいので、少しだけレバーを握って隙間を空けて装着するのがコツ。
このあたりは、電動とは直接関係ない部分ですので、機械式のコンポと基本的に同じです。
特にブレーキケーブルに関しては、正しい長さで装着をしておくのが良いかと思います。
というのも、後にシフト用ケーブルを配するときにブレーキケーブルに沿わせる感じでセッティングしたりするのですが、ブレーキケーブルが短かったりすると、ハンドルを切った際にシフトケーブルも一緒に引っ張られてしまい断線の恐れがあるからです。
もちろん、電動だからという理由で、ブレーキケーブルの長さを特別な設定にする必要があるというわけではなく、機械式と同様です。従来のロードコンポーネントを正しく組み付けできる方でしたら、特に何も意識することはないと思います。
さて、いよいよ、変速系の組み込みですが、まずはリアディレーラー。
こちらは機械式と取り立てて変わったことはありません。締め付けトルクは8-10N・mでフレームのディレーラーにねじ込んでいって完了です。Bテンションアジャストボルトの位置に注意してくださいね。
次にフロントディレーラー。これはちょっと注意が必要です。
駆動に大きな力を要するフロントディレーラーはちょっと特徴的な取り付けになります。直付け台座にネジ留めするのは従来品と同様ですが、7970ではより確実な変速を実現するため、取付けボルトの他に、ディレーラー本体からフレームパイプに向かってネジが突き出る構造になっており、このネジを締めこんでいって、フレームを押さえつけることで、台座のタワミや微小なガタをなくす構造となっております。
このネジ、チェンジサポートボルトと命名されておりますが、ただ、単にボルトをフレームに向けて突き出していったのでは、昨今のカーボンフレームや金属でも肉薄パイプでは破損や変形を起こしてしまいます。
そこで、ネジがパイプにあたる部分には専用のプロテクター(ステンレスの板)を貼り付けます。このプロテクターですが、10mm四方の薄い板なのですが、フレームパイプへの取付けは両面テープですが、両面テープ貼付部分は4割ほどで、後の6割部分はテープはなし。
なぜかといえば、チェンジサポートボルトが当たる部分にはプロテクターとフレームパイプの間に両面テープがなく直に接するようにしてタワミを排除するわけです。
この、プロテクターですが、ラウンドタイプとフラットタイプがあり、さまざまなフレームに対応するよう配慮されております。
この、フロントディレーラー、FD-7970に関しては、直付タイプのみのラインナップとなり、バンドはアダプターでの対応となります。このアダプターは7970専用となります。なぜ、専用のアダプターかと言うと上記のチェンジサポートボルトが作用するように対応した形状になっているのです。
取付け上下位置は、従来と同様、アウターチェーンリングの歯先からディレーラーのプレートまでが1-3mmとなるようにします。取付けボルトの締付けトルクは5-7N・mとこちらも従来同様。
で、機械式と異なるのが取付け角度。最終的には同じになるのですが、7970の場合、まずガイドプレートの後方がギア板より0.5-1mm内側になるように若干斜めに取り付けます。
そして、その後、上述のチェンジサポートボルトを2mmの六角レンチで締めていきます。このボルトを締めていくと、ボルトの先端がフレームパイプにあたり、締めこんでいくことにより、ディレーラー、台座のガタを吸収し、台座がわずかに撓むことにより斜めに取付けたディレーラーがギア板と平行になっていきます。
これで、前後ディレーラーの取付けは完了。
次にバッテリーブラケットの取付け。
バッテリーブラケットはボトルケージ台座に取付けします。バッテリーの着脱が可能なようにボトルケージの下から108mmのスペースの確保が必要です。
小さいサイズのフレームなどでは、シートチューブ側のボトルケージと干渉する恐れがありますが、シマノではボトルの取付け位置をオフセットできるアダプターも発売予定です。ただ、スローピングフレームでサイズの小さいものなどでは、ダブルボトルでの使用はできないものもありそうですね。
バッテリーブラケットの取付けができれば、各ケーブルの接続、調整に移るのですが、その前に重要な事。
バッテリーを外して作業をして下さい!!
これは、電気的に故障するといったことではなく、不用意にディレーラーが動作し、事故を防止するためです。変速操作がスイッチとなったため、軽い力で操作が可能となり、何かの拍子でスイッチを押してしまい駆動力の大きなフロントディレーラーなどが不意に動作し、尖った歯先で指を切るといったような事故を未然に防ぐためです。くれぐれもご注意ください。
バッテリーが取付けされていないことを確認してケーブルの接続作業に入ります。
ケーブルの接続といってもいたって簡単。各ケーブルには「FD」「RD」などのしるしがつけてあるので、指定されたとおりにコネクタを接続していくだけです。
コネクター接続部の▲印を合わせてしっかりと差し込んでください。防水構造なのでクリック感は硬めになってます。
ジャンクションAと呼ばれる制御部?(といっても小さな部品)をブレーキケーブルにタイラップで取付けます。インジケーターも兼ねているのでフロントブレーキケーブルが位置的にもイイ感じです。
このジャンクションAからデュアルコントロールレバーに接続するケーブルが出ているので、それぞれ、レバーに接続します。接続には専用の工具(といっても簡単なもの)を用います。
工具にコネクタをセットし、コネクタの突起とコネクタカバーの溝が勘合するように取り付けします。
デュアルコントロールレバーのコネクタ接続部は2箇所あり、エアロバー用のスイッチ増設などに対応いたします。
次にジャンクションBと呼ばれる制御部?からでているフロント・リアの各ディレーラーへのケーブル、そして、ジャンクションAへ接続するケーブルを接続します。
こちらも各コネクタは硬めですので、しっかりと接続するよう注意が必要です。ジャンクションAへ接続するケーブルは3サイズ設定があるのですが、通常はMサイズでほとんど問題ない長さかと思います。
ジャンクションBの部分で、あまったケーブルをまとめることが可能ですので、適正な長さに調節後、BB裏へジャンクションBを固定します。
各コネクタを接続したら、バッテリーを取り付け、フロント・リアディレーラーの動作確認を行ってください。
問題なく動作すれば、バッテリーを外し、各ケーブルを綺麗に処理し、チェーンを装着してまずは取付け完了。チェーンの長さはアウタートップでプーリーが上下90度(対地面)になる長さで、機械式と同様です。
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投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
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