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リアディレイラー(RD-R9100~7000)の調整【2020/02/…

公開日 :

投稿者:mechanic

リアディレイラー(RD-R9100~7000)の調整【2020/02/11更新】

変速機(リアディレイラー、リアディレーラー)

1900年代から自転車に採用されだしたシステムです。
体力や環境に合わせて適切なギアを選ぶことで、より効率的に楽に速く遠くへ走ることが可能になります。


しかし外装変速機は本体がむき出しで晒されているという構造上、どうしても定期的な点検調整が必要になる箇所です。



100㎞のサイクリングでの変速回数は300~400回にもなります。
恐らく多くの方の想像以上に多い回数だと思います。
コースや個人差もありますが、こんな回数の操作、、、点検を怠ったガチャガチャの状態で乗り続けたらどうなるか、想像に難くないでしょう。

プロショップに調整を依頼するのが最も失敗のない方法ではありますが、今回は現行のSHIMANO Rシリーズをメインにリアディレイラーの調整方法をご紹介します。

フロントディレイラー(FD)の調整方法はこちら









目次

リアディレイラーの仕組み



簡単に言うとSTIレバーでワイヤーを巻き取ることでリアディレイラー(以下RD)のバネを伸ばし、プーリー(RDについている小さい歯車)でチェーンを指定のギアへ誘導し、変速しています。

プーリーは2個付いています。
上の物がガイドプーリー、変速の要です。

下の物がテンションプーリー。
大ギア×大ギア(アウターロー)と小ギア×小ギア(インナートップ)では必要なチェーンの長さが違うのですが、その差に伴うチェーンの弛みを調整しています。



ワイヤーが巻き取られていないこの、バネが収縮している状態がRDのデフォルト状態です。
レバー操作でワイヤーを巻き取るとバネが伸ばされ、変速機として機能します。






複雑そうな構造や動作をしているように見えますが、調整箇所は
・ハイ側、ロー側それぞれの可動域の設定(制限)
・ワイヤーのテンション調整
・ロー側スプロケットとガイドプーリーの距離の調整
の三点だけです。

解説が分かりやすいように、スプロケットのハイ(H)側から1段目、ロー(L)側を11段目と定義します。







変速調整

ストローク調整

ハイ側、ロー側それぞれの可動域の設定(制限) を行います。
RD後方のH/Lとある調整ボルトを確認します。

2mmのアーレンキーで調整します。
RD-9000、6800や4700ティアグラ、又はそれよりも古い型の場合は+ドライバーを使用します。

~【H】ハイボルト~
ワイヤーのテンションが張っていないときのプーリーケージの初期位置を定めます。 変速機の基本位置を決める重要なポイントです。

緩めすぎるとチェーンがスプロケット1段目からフレーム側へ脱線し、破損に繋がります。
逆に締めすぎると、1段目の領域を超えてしまい、初期位置が2段目3段目に設定されてしまいます。

緩めすぎの状態。1段目の延長線上よりも外側にプーリーが位置しています。
この様に脱線を起こす可能性があります。





締めすぎた状態。




~【L】ローボルト~
11段目にかかっているときのプーリーケージの位置を定めます。
緩めすぎるとプーリーケージをスポークに巻き込み、ホイール、RD諸共壊してしまうトラブルに繋がります。
締めすぎると11段目に向けて正しく変速しなくなります。

緩めすぎた状態。



締めすぎた状態。STIレバーが操作できなくなります。




ハイボルトを操作し、1段目のギアの延長線上からほんの少し外側にガイドプーリーを設置します。

©SHIMANO





ワイヤーのテンション調整

STI側の巻き取りをリセットしてから、シフトワイヤをRDに固定します。

溝に沿ってワイヤーを固定します。(6~7N/m)




この時にアジャストボルトは締めきっておきます。

アジャストボルト分解図






緩めすぎの状態
締め切った状態。



この段階で緩めてしまっていると、後の微調整に支障が出ます。

これでSTIレバーとRDが接続されたので、レバーを操作してローギア側に変速させます。

~1段目から2段目にギアが上がらないor中間ギアで変速しない、チャカチャカと鳴る場合~
→シフトワイヤーが弛んでいます。
初期伸びor固定が緩いなどの原因が考えられます。
アジャストボルトを反時計回りに緩めてシフトワイヤーのテンションを張ります。


~テンションの確認方法~
2段目から3段目にレバーを半押し操作します。
半押し状態で変速が完了してしまった場合、ワイヤーのテンションが高すぎます。
半押し状態で3段目に接触し、チャカチャカと音鳴りする状態がベストセッティングです。

ロー側のストローク調整

ゆっくりと10段目→11段目へ変速させます。
ローボルトを操作し、11段目のギアの延長線上から奥(自転車の中心側)へガイドプーリーが向かわないように可動域を制限します。

©SHIMANO



前述のとおり、緩めすぎると(制限が甘いと)プーリーケージがスポークに巻き込まれ、ホイール、RD諸共壊してしまうトラブルに繋がります。




・ローギアとガイドプーリー間の距離の調整

エンドアジャストボルトを操作し、11段目のギアとプーリーケージとの距離を調整します。(旧型ではBテンションボルトと呼称します。)

人差し指の真ん中で突き出ているのがエンドアジャストボルト



エンドアジャストボルトを締めるとギアとガイドプーリーとの距離は遠ざかり、緩めると近づきます。

クランクを逆回転させたときに二つが近すぎると間でチェーンが詰まり、ゴリゴリ鳴ります。
遠すぎると変速動作が不安定になります。

詰まりが発生しないかつ、二者間の距離ができるだけ近づく場所に調整してください。

締めすぎた状態。プーリーとギアとの距離が遠すぎます。
近すぎる状態。ゴリゴリと明らかな抵抗感を感じます。


シフトワイヤーの残りは30㎜以下にカットします。長すぎるとスポークと接触します。




それでも上手くいかないときは、、、

上記の調整をしても上手く変速しない、挙動が安定しない場合は。
・ディレーラーハンガー曲がっている
・シフトワイヤーが劣化、ほつれている
・ディレーラー本体(プーリーゲージ)が歪んでいる
・チェーン、スプロケット、フロントチェーンリングが摩耗している

などパーツの交換交換が必要なトラブルが考えられます。
この場合は損傷具合、摩耗具合、互換など判断が難しい箇所になりますので、プロショップに相談することをお勧め致します。

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投稿者情報:mechanic

京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。

質問・コメント一覧

  • 2018/02/25 - ちゃろふ

    シフトワイヤーのアウターがボロボロになりインナーワイヤーも錆びていた為、シフトワイヤーのアウターケーブルとインナーワイヤーを交換しました。
    しかし交換後、シフトチェンジが出来なくなりました。ギアはシマノの6変速です。
    ワイヤー固定ボルトを締める際、ワイヤーを張り気味に締めると3速よりハイギアには、シフトレバーが固くギアチェンジが出来ません。
    少し緩みを持たせてワイヤー固定ボルトを締めると、レバーを回しても6速に入ったままシフトチェンジ出来ません。
    アジャスターの調整に問題があるのか、シフトレバー内に問題があるのか、シフトワイヤー交換がうまく出来ていないのか。もし問題点がわかれば教えてください。

  • 2018/02/27 - ちゃろふ

    先日シフトワイヤーを自分で交換しました。
    シマノの6変速ですが、交換後シフトチェンジがうまく出来ません。
    固定ボルトを締める際にワイヤーを張り気味にすると、3速よありハイギアに入れようとしてもシフトレバーが固くて変速出来ず、ワイヤーの剥き出し部分を見るとピンピンに入っていることが分かりました。
    すこし余裕をもたせて固定ボルトを締めると6速から変速が全く出来ません。
    どうしたら良いでしょうか?

  • 2018/02/27 - mechanic

    ちゃろふ様

    お問合せありがとうございます。

    お尋ねの件ですが、インナーケーブルをディレーラーのケーブル固定ボルトに固定する際、ケーブルの張りが強すぎますと、トップギアにおりにくい状態となります。
    逆に張りが弱すぎますと、トップギアからシフトレバーを押していっても、なかなかギアが上がっていかず、あがっていっても途中までしかいけない状態となります。
    アウターケーブルがどこかでフレームから外れている、ディレーラーが変形している、などの症状がないのであれば、普通は上のようなことが原因と考えられます。
    やり直す場合は、ディレーラーが変形していないか、ディレーラー取り付プレート(ディレーラーハンガー)が曲がっていないか、アウターケーブルは所定の位置にすべてはまっているかを確認してください。それらに問題がなければ、ケーブルの張り調整にかかってください。

    シマノの6変速ということですと、レバーに各ギア位置ごとのクリックが設けられているインデックス(SIS)と、位置決めがないフリクションとがありました。
    以下、フリクションで説明をいたします。

    まずシフトレバーをトップギア位置にセットします。
    次にディレーラーのトップ位置をトップ側可動域ボルトで決定します。
    ケーブルを引っ張りながらディレーラーのケーブル固定ボルトに固定します。
    ここまではフリクションもインデックスも同じです。

    フリクションではこの後、クランクを回してレバーを引きながら、ローギアの手前まで変速させます。
    そこでいったん車輪を止めます。
    次にロー位置をロー側可動域ボルトで決定しますが、車輪を勢いよく回しながらローギアに入れると、ディレーラーが内側に入りすぎる状態だったり、ディレーラーやディレーラーハンガーが曲がっている状態ですと、回転している車輪のスポークにディレーラーが当たって、かたかた音がする程度でしたらすぐ止めればよいですが、内に入りすぎると、スポークがディレーラーを巨大パワーでぶっ飛ばすという悲惨な事態にもつながります。
    ですのでここは用心のためローギア手前でいったんブレーキをかけて車輪の回転を止めます。
    そうしたあとに、そろそろ車輪を回しながらローギアに入れます。
    ここでロー位置をロー側可動域ボルトで決定します。
    このあと、トップ、ローともちゃんと入るか確認して終了です。

    インデックスの場合は、間のギアにもちゃんと入るかどうかのチェックもします。
    トップギアから1クリックずつレバーを押していき、各ギアの入り具合を確認します。
    入りきらない場合はディレーラーのアジャスターをしめていきます。
    行き過ぎて次のギアに接触する場合は、アジャスターをゆるめていきます。
    アジャスターをゆるめたいのにめいっぱいでゆるめられない場合はケーブルの張り過ぎですので、少々ケーブルの張りをゆるめて(ケーブル固定ボルトをゆるめて止め直す)、やり直してください。
    ローギアからの下りもチェックしてください。

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