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チェーンリングの交換の方法(ノーマルクランク→コンパクトクランク)※Shimanoシマノ4本アームのクランク
SHIMANO製の4本アームクランクが登場して以来、下位グレードにもその構造が引き継がれ、
チェーンリングの交換が非常に簡単になりました。
ここでは、4700系TIAGRA、5800系105、6800系ULTEGRA、9000系DURA-ACE
のチェーンリングの交換方法について紹介します。
(チェーンリングの歯数を変える意味についてはこちら)
目次
用意するもの
・六角レンチ(5ミリ)
・トルクスレンチ(T30)
・TL-FC16(クランクボルト取り外し工具)
チェーンリングの取り外し方
クランクセットは、大きく分けて右側クランク、チェーンリング、左側クランクに分かれています。
まず最初に、クランク取り付けボルトを2本外します。
この時、脱落防止爪をなくさないように気を付けます。
脱落防止爪がないと、もし取り付けに不備があった場合、
走行中にクランクが抜けてしまうトラブルを招き、非常に危険です。
次に、クランクボルトを緩めます。
TL-FC16を取り付け、反時計回りに回し、緩めていき、取り外します。
クランクボルトが抜けました。
左クランクを引き抜きます。
右クランクも引き抜きます。この時、手で引っ張っても抜けにくい時があります。
抜けにくい場合は、クランクの軸を左側から軽く叩いてやると、抜けやすくなります。
またチェーンが引っかかって抜けにくい場合には、わざとチェーンを落としてやると楽に
引き抜くことができます(フレームに傷が入らないよう気を付けてください)。
クランクセットの取り外しが完了しました。次に、チェーンリングを取り外していきます。
チェーンリングは、右クランクの裏側から4本のチェーンリングボルトによって固定されています。
チェーンリングボルトは六角ネジではなくトルクスネジなので、トルクスレンチを使用します。
T30トルクスレンチを奥まで挿入し、反時計回りに回し、ボルトを緩めます。
この時、一気に緩むと弾みでチェーンリングに手が当たることが多いです。
歯に手が当たるとケガをしてしまうので、歯の部分を布で覆うなどしておき、安全対策を行います。
また、トルクスレンチを奥までしっかり入れてから回さないと、ボルトが破損する原因になるので、
泥などが詰まっている場合は取り除いてから作業を行います。
クランクアームからチェーンリングを取り外し、必要であれば各部洗浄を行います。
普段洗車をこまめに行っていても掃除しづらい箇所でもあるので、
交換するついでに洗浄も行うのがオススメです。
チェーンリングボルトを外し、チェーンリングを取り外しました。
チェーンリングの取り付け方
新しいチェーンリングを取り付けます。
この際、チェーンリングの裏表や向きを確認してから取り付けてください。
(上:53-39T 下:50-34T)
今回は53-39Tから50-34Tの組み合わせへ交換します。
チェーンリングを重ねてみると、大きさの違いがよくわかります。
(チェーンリングの歯数の違いについてはこちら)
チェーンリングを取り付ける際は、チェーンリングの向きと裏表に注意をします。
SHIMANO純正のチェーンリングに交換する場合は、画像のようにチェーンリングの
歯数の表示がインナーリングは裏から見えるようにとりつけます。
アウターリングは歯数の表示がクランクアームの反対側になるように付けてください。
(画像は53-39Tです。)
位置を合わせたら、締めていきます。この時、1本を一気にしめるのではなく、
4本ずつ対角線を描くような順で、時計回りに締めていきます。チェーリングボルトに限らず、
均等に締めないと、パーツの歪みや固定力の不足を招きます。
指定トルク(12~14N.m程度)で締めていきます。
おおよそステムをコラムに固定する時の2倍以上の締め付けトルクなので、
感覚的にはかなりしっかりと締める必要があります。
しっかりとトルクスレンチを奥まで入れてから、確実に固定します。
チェーンリングの取り付け位置を再度確認し、合っていれば右クランクから再びBBに挿入します。
しっかりと奥まで挿し込みます。
左クランクを取り付けます。
クランクの軸に溝があるので、溝にあうように左クランクを取り付けます。
TL-FC16を使用し、クランクボルトを締めます。
この時の締め付けトルクは0.5~1.5 N・m程度なので、指先の力だけで締められる程度です。
クランクからチェーンを外し、空転させたとき、やや抵抗を感じる程度締め付けます。
この時、クランクを左右に押し引きし、ガタがないことを確認します。
左クランク取り付けボルトを取り付けます。必要であれば洗浄します。
ボルトは交互に締めていき、12~14 N・mで締め付けます。
この時、脱落防止爪を忘れず取り付けてください(カギ状になっているほうが外側です)。
変速・チェーンの長さの調整(歯数変更時)
チェーンリングの歯数が以前と同じ場合はこれで終了です。アウターリングの歯数を
以前より大きくした場合はフロントディレイラーの取り付け位置を高くします。
以前より小さくした場合は、以前よりも低い位置に固定します。
今回はチェーンリングの歯数を小さくしたので、フロントディレイラーの羽の高さが
高くなってしまっています。
この状態で走行すると、変速性能が悪くなり、また位置調整ができていない時など
チェーンが外側に落ちてしまうというトラブルを引き起こしかねません。
チェーンリングの歯先とフロントディレイラーの羽の感覚が2ミリ程度になる位置が目安です。
画像では5ミリ以上開いてしまっています。
フロントディレイラーの位置を動かした場合は、再度変速の調整を行います。
(フロントディレイラーの調整方法はこちら)
また歯数を以前より小さくすればチェーンの長さは余り気味に、歯数を大きくすれば
チェーンの長さは足りなくなるので、チェーンのテンションが弛んでいたり
逆に張りすぎている場合は適切な長さになるようチェーンの交換をしてください。
(チェーンの長さ調整についてはこちら)
チェーンリングとフレームの相性
フロントディレイラー台座が直付けのフレームは、チェーンリングの大きさによっては
適切な変速調整が行えないという場合があるので、注意が必要です。
これはFD(フロントディレイラー)台座の取り付け可動範囲によって左右されます。
アウターリングが50T、52T、53T程度であれば、問題のないフレームがほとんどです。
しかし、シクロクロス用の48Tや46Tや、タイムトライアル用の54T、55Tなどへの
交換を考えている場合は十分に相性を検討してから作業を行ってください。
また、楕円のチェーンリングなどを取り付ける際は、商品に記載されている
インストール方法に従って取り付けてください。
(最も歯数の大きい位置で合わせる場合が多いです)。
チェーンリングの歯数の違いによる特徴やメリットデメリットについては下記記事も参考にしてみてください。
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投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
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- 2018/12/08 - 池田彬
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soraのコンポを使っており、50-34のチェーンリングから、ROTORの52-36の楕円チェーンリングに換えようとしているのですが、クランクボルトの位置などはメーカーによって違うのでしょうか。それとも統一されている場合が多いのでしょうか。どうか、よろしくお願いします。
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- 2018/12/08 - mechanic
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お問合せありがとうございます。
フロントギア板を固定するボルトを結ぶ円の直径をPCDといいます。
このPCDはメーカーなどによって異なり、PCDがクランクアームとギア板とで長さが違いますと取り付けることが出来ません。
現在ご使用しているクランクのPCDと購入を予定されているチェーンリングのPCDが合っているか確認してからご購入されることをお勧めいたします。
宜しくお願い致します。
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- 2019/06/14 - ENSH
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上記のsoraの方の質問についてです。
ギア板(?)と仰っていますチェーンリングについてです。
PCDが合致してもsoraのアーム数が違うと互換性はまるっきり無くなってしまうのでご注意ください。
それともうひとつコンポーネントが何速であるかによってもチェーンリングの歯の厚みが違うので互換性が無くなってしまいます。ここわ合わせないと全く変則が効かなくなるので注意が必要です。
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ぼんやりと分解したら、インナーの裏表がわからなくなりました。
検索してらここが出てきて、写真がいっぱいで解り易くて助かりました。