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クリンチャータイヤ用インナーチューブの選び方

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投稿者:mechanic

クリンチャータイヤ用インナーチューブの選び方

タイヤとチューブが別になっているクリンチャータイヤは、利用するチューブによってその性能を変化させることが出来ます。今回は一般的なブチルチューブ、軽量なブチルチューブ、R-Airチューブ、ラテックスチューブを紹介します。

きゅうべえ取り扱いのインナーチューブ一覧

右からブチル,R-air,ラテックス

左からラテックス・R-Air・ブチルチューブ

目次

ロードバイク・MTB用クリンチャータイヤの構造

クリンチャータイヤ輪切り

クリンチャータイヤ輪切り

クリンチャータイヤは、ホイールに嵌るビードとタイヤの形を支えるケーシング、路面と接するトレッド、および空気を保持するインナーチューブで構成されています。

自転車タイヤはオートバイや自動車用のタイヤと異なり、人間の出すことが出来る小さなパワーを最大限活用するため、軽量性と低い転がり抵抗、十分なコントロール性を両立するよう設計されています。

特に、ロードバイクタイヤの路面とトレッドが接する面積は大変小さいですが、単位面積当たりで見るとたいへん大きな接地圧で路面に押し付けられるため、結果として正しく操縦する限りスリップは起こりにくくなっています。

しかし、ロードバイクタイヤは接地する面積が狭いため、小さな路面の凹凸であっても路面とトレッドが離れ、グリップやトラクションが消失してしまうという難点があります。また、重量のかさむサスペンションを持たないロードバイクにとっては、タイヤの変形がサスペンションの代わりに路面追従性や乗り心地の確保を担っています。

このタイヤの変形を生んでいるのが、薄くしなやかなサイドウォールです。

インナーチューブの種類

インナーチューブは空気を保持する為にありますが、厚みがサイドウォールに比べて無視できないほどあるため、グリップや乗り心地にも影響します。タイヤを貫通する異物への抵抗性もインナーチューブで決まります。

  • ブチルチューブ
    最も一般的なインナーチューブの素材です。空気が抜けにくく組み付けが簡単、高い耐久性が特徴です。重量はロードバイク用で80~100gです。
  • 軽量ブチルチューブ
    タイヤの軽量化に用いられるレース仕様のインナーチューブです。通常のブチルチューブよりグリップや乗り心地が改善することもあります。空気は抜けにくいですが、僅かな傷が元でパンクしやすく、とくにリムとビード間にチューブが挟まりバーストパンクを起こしやすいので、組み付けには細心の注意が必要です。重量はロードバイク用で50~60gです。
  • R-Air
    Panaracer(パナレーサー)が開発した、ブチルチューブの扱いやすさとラテックスチューブの性能を合わせ持つインナーチューブです。扱いは軽量ブチルチューブに準じます。重量はロードバイク用で60~70gです。
  • ラテックスチューブ
    古くからある高性能チューブです。一般的にブチルチューブよりグリップや乗り心地が改善します。24時間程度で空気圧が大きく低下してしまい、クリンチャータイヤで利用するとリムテープ側が傷みやすいため、完全にレース仕様のインナーチューブです。重量はロードバイク用で60~70gです。

検証:ラテックスチューブは本当に高性能か?

「ラテックスチューブはしなやかなためパンクしづらい」と一部で言われています。

チューブラータイヤを製造しているchallenge社の日本代理店サイトでもこのあたりに触れていますhttp://www.actionsports.co.jp/product_challenge2.php

が、にわかには信じ難い話です。そこで、一般的な肉厚のブチルチューブとチューブラータイヤに使われているラテックスチューブの耐パンク性を比較するため実験してみました。

  • 実験方法
    重量100g程度のロードバイク用ブチルチューブと60g程度のラテックスチューブを切り、同じ大きさ(2x3cm)のシートにする。それをクリップを曲げて作った針に押し付け、針が貫通するのに必要な重量(g)と、針が貫通したときのシートの変形量(cm)を見る。

    実験風景(ラテックスチューブ)

    実験風景(ラテックスチューブ)

  • 実験結果
    貫通するのに必要な重量(g)は、ブチルシートでは1.5kg、ラテックスシートでは0.6kgでした。
    貫通したときの変形量(cm)は、ブチルシートでは1.0cm、ラテックスシートでは1.9cmでした。
  • 結果から
    二種類のシートでの実験結果から、一般的なブチルチューブは強度はあるが、変形しないため貫通してきた異物にはさほど強くない、ラテックスチューブは異物が刺さるだけではパンクしづらいが、単純な強度ではブチルチューブに劣っているので、繊細な取り扱いが必要、となり、
    「ラテックスチューブはパンクに強い」というのは、通常の突き刺しパンクについては正しいといえます。

※この実験は本サイトが独自に実施したものです。常に再現可能であることを保証するものではないことをご了承下さい。

用途別お勧めチューブ

  • ロードバイクで通勤通学したい
    耐久性があり、空気が抜けにくい一般的なブチルチューブがオススメです。
  • 一泊するようなロングライドに出かけたい
    ホイール外周部を軽量化出来る軽量ブチルチューブ特殊素材チューブ(R-Air)がオススメです。
  • レースや日帰りのロングライドをしたい
    高性能なラテックスチューブがオススメです。

番外編:チューブレス・チューブラータイヤ

クリンチャータイヤはメンテナンスが楽なため大変普及していますが、タイヤの性能を100%引き出せているかというと疑問が残るのも事実です。その点に着目したタイヤがチューブレスとチューブラーです。ステップアップしたい場合はこれらの形式のタイヤを使ってみるのもいいかもしれません。

  1. チューブレス
    最近登場した形式で、自動車などと同じように専用のタイヤとリムを用いることで、チューブなしで空気を保持できます。チューブによる摩擦などの問題がないため、同じ形式のクリンチャータイヤと比べて乗り味と転がり抵抗が改善しています。まだタイヤの選択肢が少ないのが難点です。一部MTB向けではチューブレスレディというさらに軽量な形式も使えます。
    ロードバイク用チューブレスタイヤ
    MTB用チューブレスタイヤ
  2. チューブラー
    自転車用としては最も古くからある形式で、専用のタイヤとリムを接着剤やテープで貼りつけます。タイヤにビードがなく、リムも単純なパイプ構造のため、タイヤ外周部を大幅に軽量化出来ます。また、パンクしても空気が一気に抜けることがなく、空気が抜けてもタイヤが外れないため、下りでパンクした場合でも安全に停止する猶予を確保できます。メンテナンスが煩雑で慣れが必要なのが難点です。
    ロードバイク用チューブラータイヤ

バルブキャップ / 延長アダプタ

バルブ頭にゴミが入らないようにするのがバルブキャップですが、空気を入れる際などにこれをなくしてしまうことがあります。また、バルブキャップは意外に目立つので、色を変えたい、なんていう場合もあります。そのような際には、別売のバルブキャップを使ってみて下さい。

一般的な樹脂キャップ、カラフルなアルマイトキャップ、変わり種では発光機能のついた物など、様々なバリエーションがあります。

また、ディープリムで手持ちのチューブについているバルブ長でどうしても空気が入らない、という場合は延長アダプタを取り付けます。ただ、延長アダプタの場合バルブとの相性が激しく出ますし、また、フレンチバルブの頭を押すための棒がついていない、ただの筒タイプはバルブが少しでも固くなるとすぐ空気が入らなくなってしまいます。使わないに越したことはありません。

バルブキャップ・延長アダプタ

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投稿者情報:mechanic

京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。

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