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体にあったスポーツ車を選ぶ(ポジションについて)
たとえばロードバイクの場合、一般車とは桁違いの速度、距離で走ることが出来ますが、その性能を引き出す為には、体を痛めず、疲れにくい姿勢をとる必要があります。しかし、身長、体重、柔軟性などが異なると、当然、適切な姿勢は異なります。結果として自転車各部の寸法も乗り手によって変わってしまいます。そのため、スポーツ車はサイズの選択肢を持つことが一般的になっています。初心者の方がまったくサイズの合っていない自転車に乗っていることがありますが、そんな状態では楽しく走ることが出来ません。
今回はロードバイクを例にして解説しますが、基本はMTB、クロスバイクでも同じです。
目次
ロードバイクのフレームサイズ
多くの場合、メーカーが身長ごとの適正フレームサイズを発表していますので、それに従うのが無難です。こちら(http://www.qbei.jp/framesize/)に掲示しています。しかし、本来の適正サイズは乗り手の身長、足の長さ、柔軟性によって変わりますので、乗り慣れている方は前に乗っていたものと同じサイズを選択するのが一般的です。初心者の方は、以下の点に注意してください。
- 足の長さ、柔軟性によってサイズを加減する
- 身長172cmの人を例にあげると、上記の表から、フレームサイズはホリゾンタルシートチューブ長、トップチューブ長が510mm~530mmの範囲にある物を選ぶのが推奨されますが、体が硬めの方や初心者の方は、510mmを選択されるのをおすすめします。体を効率的に使えるようになると、小さめに感じる可能性がありますが、「現在の」ポジションとしては有用です。
- スローピングフレームにして、ステム交換などで調整する
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「スローピング」と呼ばれる、トップチューブがサドル側で低くなっているフレームは、ひとつのフレームでカバーできるサイズが大きい、つまり、フレームサイズ選択が簡単なことで知られています。体を効率的に使えるようになっても、ステムやシートポストの交換でカバーできる場合が多いです。もっとも、最近はトップチューブが平行の「ホリゾンタル」フレームはかなり少なくなりましたので、あまり気にする必要はありません。
ジオメトリーについては、【自転車を性格診断】ジオメトリの見方もご参考ください。
サドル高さ・前後位置
具体的な調整手順は、サドルの高さ調整(スポーツ自転車編)、スポーツバイクのシートポスト交換をご覧ください。
サドル高さは、ポジション合わせの基本となる部分で、納車後真っ先に調整される部分です。
よく知られているサドル高さの求め方は、「股下寸法(股間に厚い本などを押し付けて測る)*0.885」の高さにセットする、というものです。スポーツバイクが初めての方にとっては、「つま先しか地面に付かない、サドルが高すぎる」と感じられるかもしれませんが、基準として考えてください。同じく有名なものとして、「サドルにまっすぐ座って、足をまっすぐ伸ばし、下死点にあるペダルをかかとで踏める」高さに合わせる、というものもあります。
また、当店スタッフの一部が使っている方法ですが、「サドルにまっすぐ座って片足を自然に垂らす(ひざ、かかとが自然に曲がっている状態)。そのとき、下にあるペダルを拇指で踏める」高さにする方法もあります。
しかしこれらの方法も、8割程度の乗り手には合いますが、合わない2割の乗り手が出ます。また、数mm単位の微調整は人によってかなり異なってきます。「乗っていて気持ちいい・足や関節が痛くならない」を第一の基準にしてください。
サドルポジションは、人によっては数mmの違いでペダリングに顕著な影響が出るほど重要で、また柔軟性、ペダリング技術によって最適な高さは上下します。参考までに、レースに出るレベルのライダーは、ほぼ例外なく数mm単位で自分のポジションを持っています。
サドルの前後位置もかなり重要ですが、サドル高さがある程度固まるまではあまり動かさない(中央に固定)ことをお勧めします。ある程度サドル高さが安定したら、短距離を早く走りたい場合は少し前に、長距離走りたい場合は少し後ろに移動してみることをお勧めします。これもmm単位の調整にしてください。
サドルの角度は、水平かわずかに前上がりが基本となります。股の痛みを抑えようと極端な前下がりにしている人がいますが、腕や肩に無用なストレスをかけ、とても疲れるのでお勧めしません。サドルへは「坐骨」で座るのが最も楽で、苦痛も感じにくいです。同様に柔らかすぎるサドルも、長距離ではつらく感じる場合があります。
ステム長さ、ハンドル高さ
具体的な交換方法はステム・ハンドル交換をご覧ください
サドルのポジションが固まると、次は上半身を楽にする為、ステムの長さを調整します。
ステムの長さは、ハンドルのブラケットに手を添えたとき、腕と状態のなす角度が90~95度になるよう調整します。前傾がきついように感じられますが、空気抵抗の軽減や、腰周りの筋肉について考えるとこの程度の前傾姿勢をとったほうが快適に走行できるでしょう。また、サドルとハンドルの落差は0~70mm程度に抑えるのが、長距離走行時のセオリーになっています。
いざ実走行へ
その前に、スポーツ自転車の安全装備や、ロードバイクの乗り方に目を通しておくことをお勧めします。
ポジションは、一人で調整しているとたまに袋小道に入り込み、乗りにくいポジションのままになることがあります。また、他人の目線から見ると、走行中のぶれやポジションの異常がすぐにわかることも多いです。そのため、たまには走行時別の人にライディングポジションを見てもらい、アドバイスを受ける、もしくは、ポジション出しサービスを行っているようなショップや走行会に参加するのもお勧めです。
自転車の場合、ランニングや他のスポーツとは使う筋肉が異なるので、スポーツ経験がある場合でも最初は初心者ポジションから始めることをお勧めします。また、自転車に乗り続けていると腰周り、太ももの筋肉が発達するため、ポジションも変化していきます。計算結果に固執するのでなく、「乗っていて快適か?」という点を忘れないでください。
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投稿者情報:mechanic
京都のサイクルショップ自転車のQBEI(きゅうべえ)が自転車メンテナンス全般に関して綴ったブログ。ネジの締め方からカーボンバイクの扱い、電動DURA-ACEまで、バイシクルメンテナンス・自転車の扱い方を幅広く掲載。
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- 2010/10/23 - k.matsumoto
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はじめまして。
ロードバイクですが、一般的には体重65~70kg前後を中心に設計されているモデルが多いのですが、もちろんマージンは確保されております。
体重95kgの方のご乗車がまったく不可能というのは、一部の超軽量モデルを除いてはないかとは思いますが、いずれにせよ、もともとの想定が上記の体重ですので、製品の寿命は短くなると思います。
特にフレーム、ホイールに関してはヒルクライムに特化したような超軽量の製品は避けたほうがよいかと思います。
(実際、海外のプロ選手でも80kgを超える選手も活躍してたりします。)
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- 2012/09/06 - 植田雅敏
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軽い椎間板ヘルニアで、ロードに1時間ぐらい乗ると。腰から背中にかけて張りが出てきます。
ひどい時は、降りてからも前かがみになれないときもあります。少し休むと楽になりますが、
シートを、低くするとだめですか。低くすると力をロスするし、膝をいためやすいと聞きました
痛みがつずくと、乗るのがイヤになるし、一度BB受けてみようかなとも思いますが
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- 2012/09/09 - mechanic
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植田雅敏 様。
スタッフ森田です。
遅くなりまして申し訳ございません。シートは低くすると、漕いでいるときに膝が適度に伸びないので、膝をいためることもあると思います。
もちろん高すぎても同様です。
「椎間板ヘルニア 自転車」などでインターネットで検索してみると、体験者の方々のいろんなコメントが出てきますので、参考にしてみてはいかがでしょう。
ただご自分の症状について詳しくは、やはりお医者さんにきいてみるのがいちばんだと思います。よろしくお願いいたします。
質問・コメントは下記フォームよりお送り頂けます。
- カテゴリ/タグ:Buying Guide(パーツ・ウェア), ポジション, ロードバイク, 基礎知識
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はじめまして、さっそくですが、私は身長が186cm 体重が現在95kgあります。今はクロスバイクで
初心者講習中ですが、やっぱりロードバイクに乗るのが夢です。
ショップに行くと体重は110kgまで大丈夫ですとか簡単に言われるのですが(700×23Cの場合)
本当に大丈夫ですか?また、どのくらいまで減量すればロードバイクを楽しむことが出来ますか。
大分市には専門のショップがありません。
宜しくお願い致します。