<自転車メンテナンス> カーボン製品の取り扱い
ハイエンド車種を中心に、自転車に広く使われる「カーボン」。正しい扱い方を知ることで寿命を延ばすことが出来ます。
目次
「カーボン」とは
いわゆる「カーボン」と呼ばれるものの正体は、「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」、つまり、カーボン繊維で強化したプラスチックです。金属材料(アルミやクロモリ)と比べて、
- 非常に軽い
- 自由に成形でき、各部の特性を自由にコントロールできる
- 強度が高い
というメリットがあり、航空機などにも使われます。
自転車におけるカーボン素材の利用
このような優れた特性から、カーボン素材は、ハイエンド車種では積極的に採用され、軽量化に貢献しています。また、一般のロードバイクでもカーボンフォーク、カーボンバック(シートステーがカーボン)としてよく採用されています。
カーボン製品の取り扱い
カーボン繊維そのものの寿命は数十~百年あるとされています。しかし、プラスチック(エポキシ樹脂)の寿命が扱われ方によって大きく変化するので、自転車では数年程度と言われています。
- 樹脂の吸湿を防ぐ
- 落車したら注意
- 締め付けトルクに注意
- カーボンシートポスト
- カーボンハンドル
- カーボンコラムのフォーク
カーボン製品は、表面に施されたウレタン塗装によって保護されています。なので、表面の塗装がはがれると吸湿します。また、塗装はフレーム内部には施されていないので、自転車を水洗いするときは注意してください。野ざらしは避けてください。樹脂は吸湿すると強度が低下します。吸湿したカーボン製品が低温になると、樹脂内部で水分が凍結し、まれに破損することがあります。
カーボンは局所的に衝撃が加わると、内部にダメージを受けます。なので、金属素材のような傷、ヒビは生じにくく、破損が発見しにくいです。そのため、落車、事故などで大きな衝撃が加わったカーボン製品は、カーボンがはがれて浮いたような箇所や線状の亀裂が無いかよくチェックし、異常が無い場合でも専門店でチェックを受けてください。カーボンは金属素材に比べて衝撃の伝達が早いので、ぶつかった部位以外がダメージを受ける場合があります。
カーボン製品を取り付けるとき、締めつけ方が悪いとパーツにダメージを与える場合があります。なので、カーボンパーツを取り付けるときは、専用の固定パーツで、トルクレンチを利用して指定トルクで締め付けてください。締め付け部分にこのような摩擦増強剤を塗ると、低いトルクで十分固定できるのでおすすめです。以下によくあるカーボンパーツの取り付けについて説明します。
シートクランプにこのような締め付け力が一箇所に集中しない製品を用い、指定トルクで締め付けてください。シートクランプで締め付けられる部分に薄く摩擦増強剤を塗ってください。
ステムにこのようなカーボンハンドル対応のものを使って、ステムと接する部分に薄く摩擦増強剤を塗ってください。ステムボルトは画像の順番で、少しずつ締めていってください。一本ずつ締めるときちんと固定できません。
また、MTB用カーボンハンドルの中には、バーエンドバー利用不可のものもありますので注意してください。
アヘッドタイプで、フォークとフレーム、ステムをつなぐ部分がカーボン(カーボンコラム)ものが、高級フォークを中心に存在します。このようなフォークのコラムカットは必ずソーガイドとのこぎりで行い(パイプカッター不可)、スターファングルナットのかわりにこのような製品を使って、ステムとの接続部分には薄く摩擦増強剤を塗ってください。ステムボルトは交互に少しずつ締めていってください。
※摩擦増強剤を利用すると、細かい擦り傷がつく場合がありますが、異常ではありません。
このように、カーボンは神経質な素材です。そのことを意識し、よく点検を行ってください。
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投稿者情報:mechanic